アプリケーションノート B-XRD2040
はじめに
電極層などの複数層を有する強誘電体デバイスでは、層構造の面内均一性が性能および信頼性を左右します。層構造に不均一性が存在すると、電気的特性や信頼性に影響を与える可能性があるため、面内分布の評価が重要になります。ポイント形状に集光したX線と2次元検出器を使用した、露光方式による2次元X線回折測定は、検出器角度をスキャンせずにX線回折像が取得できるため、試料面内の局所的な評価やマッピング評価に適しています。本アプリノートでは、この測定法を用いて強誘電体薄膜試料の面内マッピング測定を行い、各層に由来する回折信号強度の分布を迅速に評価した事例を紹介します。
測定・解析例
20 mm角のSi (100)基板上に、電極膜(Pt)および強誘電体膜((Pb,La)TiO₃, 以下PLT)をスパッタ法により成膜しました(図1)。試料表面には色調のばらつきがみられ、成膜状態の面内不均一性が示唆されます。
図1 測定試料
ポイント変換光学素子CBO-fと2次元検出器による露光測定(露光時間:10秒)を行い、2θ = 40°付近のX線回折像を観察しました。試料中心部で得られたX線回折像と、それを2θ-強度に変換したプロファイルを図2に示します。測定範囲にはPLT 111およびPt 111反射が観測されました。
図2 試料中心部の2次元X線回折像および2θ-強度プロファイル
続いて、XYアタッチメントを用いてX線照射位置を2.5 mm間隔で移動させ、試料全面のマッピング測定を行いました。取得した各データに対して図2と同様の2θ-強度変換処理を行い、PLT 111およびPt 111反射のピークの積分強度を算出しました。その結果のマッピング表示を図3に示します。PLT 111およびPt 111反射のいずれにおいても、積分強度の面内分布が確認されました。また、Pt 111反射の強度分布は、試料表面に観察された色調のばらつきと同様の傾向を示しました。
図3 積分強度マッピング表示
以上のように、ポイント形状X線と2次元検出器を用いた露光測定は、薄膜試料の面内均一性を短時間で評価できる有効な手法であり、成膜状態の確認や品質管理に有用です。
推奨装置・ソフトウェア
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + 微小部測定光学ユニット CBO-f + XYアタッチメント + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix-3000
- 統合X線分析ソフトウェア SmartLab Studio II(Data Visualizationプラグイン)