アプリケーションノート RSMD009
MTJ測定:WDXRFの重要な測定機能
MRAMの重要な構造の一つに、BやMgなどの軽元素を含むMTJ構造がある。これら軽元素の分析はWDXRF(波長分散型蛍光X線分析)が得意とする領域である。EDXRF(エネルギー分散型蛍光X線分析)および光学手法では、これらの軽元素を分析することはできない。
MTJ分析のコンセプト
MgOおよびCoFeB層の同時分析には、下図に示す解析モデルを用いる(繰り返し層の膜厚は統合して扱う)。

XRFでは、同一元素を含む複数層のスペクトルを区別することは困難である。MTJ構造においては、2つのCoFeB層を分離して解析することはできない。そのため、CoFeB層は単一層として扱う必要がある。層が薄いため、吸収および励起の影響は小さい。
WDXRFツールによるMgO薄膜分析
MTJ構造では、キャップ層および/またはバリア層としてTa層が用いられることが多い。この場合、Ta-MzピークはMg-Kα付近に現れるが、WDXRFでは明確に分離することが可能である。これは高い分解能を有するWDXRFの特長である。一方、EDXRFではSi-KαおよびTa-Mzによるバックグラウンドが高く、小さなMg-Kαピークが埋もれる可能性がある。

多層薄膜の解析には、一般にFP法が用いられる。他層による吸収および組成差を考慮した計算が可能であるためである。FPキャリブレーションは理論強度と測定強度の相関に基づくものである。少数の標準試料を用いて解析を行い、単層や純金属など他の構造にも適用することができる。
WDXRF (AZX 400)によるMgO薄膜分析
WDXRF (WaferX 310)によるMgO薄膜分析


WDXRFによるCoFeB薄膜分析
CoFeB層に対しては、膜厚だけでなく組成分析が行われることが多い。この場合、B-Kαの測定が必要である。しかし、積層試料においてB-Kαを測定する際には、Pt、Ta、Ru、W(使用されている場合、その他元素を含む可能性あり)のスペクトルが重なり合う。したがって、解析にはCoFeBのダミー単層試料を使用する必要がある。

WDXRF(AZX400)によるCoFeB薄膜分析

WDXRF(WaferX 310)によるCoFeB薄膜分析

積層MRAMの分析
積層MRAM試料の解析においては、繰り返し層の膜厚を合算したモデルを設定する必要がある。

