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世界のリガク vol.9

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クロアチアからドイツへ、熱分析の輪を広げる ― ESTAC14レポート

こんにちは、熱分析スペシャリストの有井です。今回は、クロアチアとドイツで行った二つの活動をご紹介します。 2026年9月、クロアチア・スプリットで開催された「第14回欧州熱分析・熱量測定シンポジウム(ESTAC14)」に参加しました。 ESTACは4年に一度開催される国際シンポジウムです。第1回大会から50周年を迎えた今回は、32カ国から200名を超える研究者が集まり、熱分析・熱量測定に関する最新の研究成果を発表し、活発な意見交換が行われました。 国や地域を越えて多様な研究に触れ、研究者同士が直接言葉を交わせることは、国際会議ならではの魅力です。熱分析が支える研究領域の広さと、人のつながりの大切さを改めて感じました。

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会場となったスプリット大学で、ESTAC14に参加した研究者・関係者の皆さんとの記念撮影

熱分析の「色」に注目したワークショップ

リガクはスポンサーとして参加し、スポンサーワークショップ、スポンサー講演、ブース展示を行いました。RESEのDr. Magdalena M. Grzywaとともに、リガクの熱分析技術を紹介しました。

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ESTAC14のリガクブースにて、RESEのDr. Magdalena M. Grzywaと

ワークショップで紹介したのは、STAvestaの試料観察機能を活用した「ChromTA™(Chromatic Thermal Analysis)」です。温度変化に伴う試料の色調変化を数値化し、重量や熱の変化に「色」という新たな情報を加えて材料の挙動を捉える手法です。 ブースでは、STAvestaの実機とChromTAのバナーを展示しました。 試料の色の変化をスペクトルデータとして捉えるChromTAは、熱分析に新しい視点をもたらします。装置の機能にとどまらず、新たな評価方法が広げる材料研究の可能性を、参加者の皆さんにお伝えできたと思います。 装置の上で羽を休めるDr.Rixseeのフィギュアも、来場者の目を引き、ブースを大いに盛り上げてくれました。

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リガクブースでSTAvestaとChromTAを紹介

若手研究者の挑戦を称える

ESTAC14では、「Rigaku-ICTAC Promising Researcher Award 2026」の授賞式も行われました。受賞者は、スペインのバレンシア工科大学で研究に取り組むJuan Ivorra Martínez博士です。 Ivorra Martínez博士は、熱分析・熱量測定技術を活用し、持続可能な高分子材料やバイオコンポジット、リサイクル材料、バイオベースポリマーの特性評価に取り組んでいます。授賞式では、その成果を称え、記念盾を贈呈しました。 環境に配慮した材料の研究にも、熱分析が重要な役割を果たしていることを改めて実感しました。若手研究者の挑戦を称える場に立ち会い、この賞を通じて次世代の研究を応援できることを大変うれしく思います。

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Rigaku–ICTAC Promising Researcher Award 2026の授賞式。
受賞したJuan Ivorra Martínez博士(右から2番目)を囲んで、ESTAC14議長のProf. Matko Erceg氏(左)、
ICTAC会長のProf. Luis Pérez-Maqueda氏(左から2番目)、有井さん(右)。

次の舞台はドイツ。代理店向け実機トレーニング

ESTAC14の終了後は、ドイツ・ノイ=イーゼンブルクにあるRigaku Europe SE(RESE)のラボへ移動し、EMEA地域の熱分析代理店を対象としたトレーニングを行いました。13名の参加者を迎え、熱分析の基礎から製品、アプリケーション、サービスまでを幅広く紹介しました。STAvestaとDSCvesta2を使った実習では、装置の設置、測定、データ解析を体験していただきました。特に、試料のリアルタイム観察機能やTG-DSCによる医薬品評価に高い関心が寄せられました。 講義で原理や製品への理解を深め、実機に触れることで知識を確かなものにする。参加者の皆さんと装置を囲みながら進めたことで、説明だけでは伝えにくい操作のポイントや測定の勘所も共有できました。皆さんが熱心に取り組む姿から、私自身も多くの刺激を受けました。

学会で生まれた関心を、次の支援へ

クロアチアでは国際会議を通じてリガクの最新技術を発信し、ドイツでは代理店の皆さんと実機を囲んで学びを深めました。今回の出張は、学会での情報発信と、地域の販売・サービスを支える技術トレーニングを一続きの活動として実践する機会になりました。 学会で生まれた関心を、代理店への技術支援、そしてお客様へのより良い提案につなげていく。今回築いたつながりを今後の活動にも生かし、欧州のより多くの皆さんにリガクの熱分析を知っていただけるよう、取り組みを続けていきます。

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クロアチア・スプリットの街並み

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有井 忠(Tadashi Arii)

プロダクト本部 熱分析

大学では化学系の物理化学を専攻しました。リガク(理学電機)に入社してから、翌年にはスウェーデンの大学の物理学科で勉強する機会をいただきました。帰国後は、つくばの国立研究機関で熱伝導率の装置開発の外来研究員として働き、その後、母校の大学院博士課程に進学して学位を取得しました。

リガクではずっと熱分析装置の設計・開発に関わってきました。今はプロダクト本部の熱分析部門で、長年の目標だった海外展開に力を入れています。国際学会に参加したり、各国の代理店の方々と一緒にワークショップやセミナーを開いたりして、技術面でのサポートをしています。

国内では、熱伝導率の知識を活かして、輸入製品の技術支援も担当しています。現場の声を聞きながら、より良い製品づくりやサポートにつなげていけるよう日々奮闘中です。