X線回折装置による反射小角X線散乱法を用いた Low-k 膜の空孔サイズ分布の評価
Application Note
B-XRD2004
はじめに
集積回路の層間絶縁材料として利用されるポーラス膜(多孔質膜)では、機械的特性の低下や空孔内の配線材料の拡散の問題があり、均一で小さな空孔サイズの絶縁膜が求められています。薄膜中のナノメートルサイズの粒子・空孔サイズを評価する方法として反射X線小角散乱法があります。反射X線小角散乱法では、入射角と出射角を0.05~0.1˚ずらして小角領域の散乱X線を計測することで、試料表面からの強い鏡面反射X線を避けながら、薄膜からの微弱な散乱X線を効率的に計数できます。得られたプロファイルを、薄膜中でのX線の屈折や吸収を考慮して解析することで、粒子・空孔サイズ分布を評価することができます。
測定・解析例
比誘電率の異なる3種類の層間絶縁膜のX線反射率と反射X線小角散乱測定を行いました。X線反射率法で算出した膜厚と密度を用いて(図1)、反射X線小角散乱プロファイルから薄膜中の空孔とそのサイズ分布を求めました(図2)。解析の結果、比誘電率の異なる試料間で、形成された空孔径の平均サイズおよびサイズ分布が異なっていることがわかりました。このように、反射X線小角散乱解析法を用いると、1 nm 以下のサイズの薄膜中の粒子・空孔サイズ分布を非破壊で評価することができます(1),(2)。
図1 X線反射率測定プロファイル
図2 空孔サイズ分布
参考文献:(1) K. Omote, Y. Ito and S. Kawamura: Appl. Phys. Lett., 82(4) (2003), 544-546.
(2) 伊藤義泰: 真空, 49(2006), 104-108.
推奨装置・ソフトウェア
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (XRRプラグイン, MRSAXS プラグイン)