Rietveld解析による チタン酸バリウムの結晶多形評価

アプリケーションノート B-XRD1149

はじめに

チタン酸バリウム(BaTiO3)は代表的な強誘電体であり、コンデンサー材料や、焦電体、圧電体などの電子部品材料として用いられています。チタン酸バリウムは、常温では主に正方晶系および立方晶系として存在します。これらの 結晶多形の質量分率と正方晶比(c/a比)を明らかにすることは、チタン酸バリウムの誘電率を管理するうえで重要 です。結晶多形の質量分率と格子定数は、回折パターンの違いに基づいて評価できるため、Rietveld解析を用いることで、簡便に求めることが可能です。本測定例では、高分解能・高速1次元検出器を搭載した小型X線回折装置を用いて測定を行い、Rietveld解析によるチタン酸バリウムの結晶多形の質量分率と格子定数を評価しました。

測定・解析例

測定試料として、富士フィルム和光純薬(株)製のチタン酸バリウムを用いました。Rietveld解析はX線分析統合ソフトウェアSmartLab Studio IIを用いて行いました。図1にRietveld解析結果を、表1に正方晶系および立方晶系の質量分率を、表2に正方晶系の格子定数を示します。1回のRietveld解析により、各結晶相の質量分率と格子定数が 同時に算出されます。また、SmartLab Studio IIはテンプレート機能に対応しており、解析テンプレートを用いて複数試料のデータを一括して解析することが可能です。

Rietveld解析によるチタン酸バリウム試料のプロファイルフィッティング結果

図1 Rietveld解析によるチタン酸バリウム試料のプロファイルフィッティング結果


表1 チタン酸バリウム試料の定量分析結果

結晶相 質量分率 (mass%)
BaTiO₃ (正方晶) 76.1(3)
BaTiO₃ (立方晶) 22.8(3)
BaCO₃ 1.12(5)

表2 チタン酸バリウム(正方晶)の
格子定数とc/a比

a (Å) c (Å) c/a 比
3.99525 4.03494 1.009934

 

推奨装置・ソフトウェア

  • デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2
  • 小型X線回折装置 MiniFlex XpC + 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)

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