超小角X線散乱法による顔料インクの粒径分布解析

    Application Note B-XRD1102

    はじめに

    顔料は塗料、インク、化粧品、食品などの着色物質として幅広い分野で使われています。その中でも、顔料インクは色の安定性、耐光性、階調性などで高い優位性を示すことから、多くのインクジェットプリンターのカラー成分として使われています。インクジェットプリンター用の顔料インクの物性はその一次粒径に依存します。一次粒径が小さい顔料インクは高濃度で透明性の高い色を発する一方、耐光性が低下しやすい傾向があり、また粒子の凝集によるプリンターの目詰まりを起こしやすいという課題があります。従って、インクジェットプリンター用に合成された顔料インクの一次粒径やその分散状態を確認することは、極めて重要なプロセスです。小角・超小角X線散乱法は、数ナノメートルから数百ナノメートルまでの粒径とその分布を評価する手法で、分散溶液を希釈せずに非破壊で評価できることから、研究開発の幅広い分野で利用されています。ここでは、超小角X線散乱法によるインクジェットプリンター用顔料インクの粒径分布を解析した例を示します。

    測定・解析例

    市販の黒・青・赤・黄色の顔料インクを直径1 mmのキャピラリーに充填し、測定時間約20分の条件で超小角X線散乱測定を行いました。図1に得られた超小角X線散乱プロファイルを示します。散乱プロファイルにフリンジ状の振動が観測されていないことから、4色の顔料インクの粒径分布が比較的広いことが示唆されます。粒径を反映する散乱プロファイルの傾きから、赤色インクの粒径が最も小さく、黄色インクの粒径が最も大きいことが分かります。

    図2に球モデルを用いた平均粒径・粒径分布解析結果を示します。赤色インクの平均粒径は54 nm、粒径分布の相対標準偏差(RSD)は80%と見積もられました。一方黄色インクの平均粒径は72 nm、粒径分布は49%と見積もられ、赤色インクよりも大きく、粒径の揃った粒子で構成されることがわかりました。粒径分布を考慮すると、いずれのインクにも粒径100 nmを超える粒子が存在していることがわかりました。

    4色の顔料インクの散乱プロファイル

    図1 4色の顔料インクの散乱プロファイル

     

    4色の顔料インクの平均粒径・粒径分布解析結果

    図2 4色の顔料インクの平均粒径・粒径分布解析結果

     

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    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
    • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (MRSAXSプラグイン)

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