アプリケーションノート B-XRD1164
はじめに
高価な試料や合成量に制約のある試料では、限られた量での分析が求められることが少なくありません。本アプリノートでは、そのような課題に対応するため、広角X線回折法を用いた微量試料の測定手法をご紹介します。高輝度・高強度のX線を照射可能な広角X線回折(Wide-Angle X-ray Scattering; 以下 WAXS, ここではWide-Angle X-ray Diffraction; WAXDと同義)装置により、ごくわずかな試料量でも、結晶構造や相同定などの構造評価が可能となります。
測定・解析例
綿棒の先端に微量の三酸化二マンガン(Mn₂O₃)を付着させ、試料を準備しました(図1)。この方法は、ごくわずかな試料量を効率的に測定する目的で採用しています。準備した試料は、透過配置で測定するための試料セルに固定し、WAXS測定を実施しました。測定は露光時間100秒で行いました。 なお、試料を保持する綿棒からもわずかに回折ピークが観測されるため、測定結果への影響を排除する目的で、事前に綿棒のみを測定し、回折ピークの位置を確認しています。
測定で得られた2次元回折パターンを図2に示します。Mn₂O₃に由来する等方的な回折リングが明瞭に観測されました。さらに、円環平均処理によって得られた1次元回折パターンと、その定性分析結果も図2に示します。定性分析の結果、ピーク位置からMn₂O₃ に加えてMn₃O₄の存在も確認されました。 このように、微量試料であっても、高輝度・高強度のWAXS測定により、定性分析が可能です。
図1 綿棒に付着させたMn₂O₃
図2 Mn₂O₃の2次元回折パターンと1次元プロファイル(定性分析結果)
推奨装置・ソフトウェア
- 広角X線散乱装置 DicifferX WAXS Edition + ハイブリッドピクセル2次元検出器 HyPix-6000
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)