クラスター解析による三元系正極材の組成比分別

アプリケーションノート B-XRD1148

はじめに

三元系正極材NCMはニッケル・コバルト・マンガンを主成分とし、リチウムイオン電池(LIB)に使用されています。LIBの性能はNCMの組成比により変化するため、特性の良いLIBを開発するためには、組成比の異なる多数の検体を評価する必要があり、ハイスループットスクリーニング検査が有用になります。ここでは、クラスター解析機能を   用いたNCMの分析事例を紹介します。

測定・解析例

組成比の異なるNCMを試料ホルダーに充填し、小型X線回折装置MiniFlex XpCを用いて集中法により測定しま  した。波長としてCuKα線を用い、40 kV- 20 mAの出力で、2θ = 10~140°を10°/minで測定しました。
図1にX線回折プロファイルをクラスター解析した結果(デンドログラム)を示します。また、図中の試料名に各試料の組成比を示します。クラスター解析では類似した回折パターンを分類することが可能であり、類似度は相関係数で 表示されます。相関係数が1に近いほど回折パターンが類似していることを示しています。相関係数の閾値を0.9939~0.9989に設定することにより、X線回折プロファイルが3種類のグループに分類され、それらは組成ごとに 分かれていることがわかりました。
次に、図2にWPPD法により算出したNCMの格子定数を示します。NCM811とNCM523はa軸が長く、NCM333とNCM523はc軸が長いという結果が得られました。クラスター解析により組成比ごとに分類できたのは、格子定数 (ピーク位置)の違いが理由と考えられます。
ここでは、クラスター解析を用いることにより、WPPD法のような複雑な操作をすることなく、NCMの組成比ごと迅速に分類できることを示しました。本手法は、多数の検体の中から異なる特徴を有する検体を抽出することができ、 品質管理・品質保証(QCQA)の現場でも役立つと考えられます。

クラスター解析結果

図1 クラスター解析結果

 

組成比の異なるNCMの格子定数aおよびc

図2 組成比の異なるNCMの格子定数aおよびc

 

推奨装置・ソフトウェア

  • 小型X線回折装置 MiniFlex XpC +
    高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II
    (Powder XRDプラグイン)

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