X線回折装置による気密試料ホルダーを用いた潮解性材料の測定
アプリケーションノート
B-XRD1066
はじめに
大気中の湿度により反応する試料のX線回折測定に、ガラスやアルミ試料ホルダーを用いると、測定中に結晶構造が変化し、材料本来の結晶構造が観測されないことがあります。汎用雰囲気セパレーターは、測定雰囲気を外部環境から隔離させた状態でX線回折プロファイルを測定することが可能です。ここでは、汎用雰囲気セパレーターを用いて、室温で周囲湿度と反応性の高い潮解性材料を測定した例を紹介します。
測定・解析例
汎用雰囲気セパレーターは、図1のように、(1)グローブボックス内で試料を詰め、(2)カバーを装着し、(3)一般的なX線回折測定用試料ホルダーと同様に試料台に載せるだけで、簡単に気密状態下での測定を行うことができます。
図1 汎用雰囲気セパレーターを用いた試料調製
図2に、ガラス試料板と汎用雰囲気セパレーターを用いて潮解性材料FeCl3を測定したX線回折パターンを示します。ガラス試料板を使用した場合(図2(a))は、20分間の経過時間で吸湿が起こり、充填直後とは全く異なったX線回折パターンが観測されました。一方、乾燥N2を充填したグローブボックス内で試料を調製し、汎用雰囲気セパレーターを用いて測定した場合(図2(b))は、数時間経過後もX線回折パターンに変化はなく、充填直後の結晶構造を維持しました。このように、汎用雰囲気セパレーターを用いることで、吸湿性が高く、結晶構造が変化しやすい試料でも、安定した状態のまま測定することができます。
図2 FeCl3のX線回折パターン
(a)ガラス試料ホルダーを用いた場合(b)汎用雰囲気セパレーターを用いた場合
推奨装置・ソフトウェア
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2 + 汎用雰囲気セパレーター
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