インプレーン逆格子マップによるエピタキシャル膜および極薄バッファー層の結晶方位評価

Application Note B-XRD2006

はじめに

ZnOは透明導電膜の新しい材料として注目を集めており、フラットパネルディスプレイや白色LEDへの応用が期待されています。薄膜状態の材料評価では、基板と膜の結晶方位の関係を知ることが重要です。X線回折装置でインプレーン逆格子マップを用いると、試料面内方向の結晶方位の評価を行うことが可能です。

測定・解析例

c面サファイア基板上にエピタキシャル成長させたZnO単結晶薄膜についてインプレーン逆格子マップ測定を行いました。高い結晶性のZnOエピタキシャル薄膜を製作するために基板との間にバッファー層としてMgOを導入しています。ZnO層の厚さは約100 nm程度で、MgOバッファー層の厚さは約5 nm程度です。

ZnO薄膜のインプレーン逆格子マップ

図1 ZnO薄膜のインプレーン逆格子マップ

膜構成と方位関係

図2 膜構成と方位関係

得られた逆格子マップを図1に示します。この試料ではZnOおよびMgOがエピタキシャル成長していることがわかりました(1)。個々の反射を指数付けすることにより求められた膜構成と方位の関係を図2に示します。インプレーン逆格子マップ測定では面内方位を変えながら回折プロファイル測定を行うことで、格子定数のばらつきと面内方位のずれを同時に評価しています。X線の透過性を利用し、厚さ100 nmのZnO層を通し、界面近傍に存在するMgOバッファー層の方位を非破壊で評価できました。

参考文献: (1) Y.F. Chen, S.K. Hong, H.J. Ko, V. Kirshner, H. Wenish, T. Yao, K. Inaba, and Y. Segawa: Appl. Phys. Lett., 78(2001) 3352-3354.

推奨装置

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab(インプレーン軸・φ軸搭載) + RxRyアタッチメント

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