X線回折装置による銀メンブレンフィルターを用いた遊離ケイ酸の検量線作成

アプリケーションノート B-XRD1144

はじめに 

二酸化ケイ素の中でも結晶質のシリカ微粒子は吸引による呼吸器有害性があるため、粉塵中に含まれる結晶質シリカ(遊離ケイ酸)量の管理が必要です。遊離ケイ酸の定量分析には粉末X線回折法が用いられており、分析試料はフィルター上に捕集され測定されます。捕集用のフィルターにはフッ素樹脂繊維ろ紙や銀メンブレンフィルターなどがあります。アメリカ国立労働安全衛生研究所の環境粉塵測定法(NIOSH7500)は、銀メンブレンフィルターを用いた分析法を提唱しています。ここでは、銀メンブレンフィルターを用いて遊離ケイ酸の検量線を作成し、検出限界と定量下限を調べました。

測定・解析例

遊離ケイ酸を銀メンブレンフィルター上に捕集後、検量線用試料を調製し、1測定15分で検量線を作成しました。加えて、検量線作成時に調製した最小量試料について繰り返し10回測定し、検出限界と定量下限を求めました。測定は多層膜ミラー(粉末X線回折用光学ユニットCBO-α)を用いて単色化した入射X線を用いて行いました。

図1に調製した各検量線用試料の遊離ケイ酸のピークを示します。最小量試料である遊離ケイ酸6 μgの試料でも、ピークを確認することができました。図2に作成した遊離ケイ酸の検量線を示します。遊離ケイ酸の含有量とピーク強度は相関係数 r = 0.9989 と高い相関が得られました。また、検出限界と定量下限は、それぞれ0.63 μg、1.90 μg と低い値が得られました。

各検量線用試料の遊離ケイ酸の回折ピーク

図1 各検量線用試料の遊離ケイ酸の回折ピーク

遊離ケイ酸の検量線

図2 遊離ケイ酸の検量線

推奨装置・ソフトウェア

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + 粉末X線回折用光学ユニット CBO-α
    +
    高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + 粉末X線回折用光学ユニット CBO-α
    +
    高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)

 

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