DD法®によるガラスの定量分析
はじめに
粉末X線回折では、多重ピーク分離法やリートベルト法により非晶質の重量分率(濃度)を求めることができますが、多重ピーク分離法は誤差が大きく、リートベルト法では被検試料への標準試料の添加が必要です。当社が開発したDirect Derivation (DD)法®では、単相と混合相の測定データから非晶質の量を直接算出することができます。ここでは、2種類の結晶粉末とガラスとを混合し、濃度を算出した例を示します。
測定・解析例
SiO2ガラス(非晶質)粉末、α-SiO2結晶粉末、α-Al2O3結晶粉末を50:20:30の比率で混合してX線回折プロファイルを測定し、全パターンフィッティングにより重量分率を算出しました。図1には、SiO2ガラス粉末、α-SiO2結晶粉末、α-Al2O3結晶粉末の単相のX線回折パターンを示します。結晶粉末からはシャープなピークが得られ、ガラス粉末からはプロードなハローパターンが得られることがわかります。図2には、混合物のデータに対する、DD法®による全パターンフィッティング(WPPF)の結果を示します。測定データと計算データがよくフィットしていることがわかります。表1には解析結果のRwp、S、混合物の濃度の調製値および定量値を示します。この結果から、単相と混合相の測定データから非晶質の濃度を直接算出できることがわかります。
図1 各成分単相のX線回折パターン
図2 混合物のDD法®WPPF結果
表1 解析のRwp、S値、混合物の調製値および定量値
SiO2ガラス(非晶質) | α-SiO2結晶粉末 | α-α-Al2O3結晶粉末 | |
Rwp (%) | 7.32 | ||
S | 1.1741 | ||
Prepared value (mass%) | 49.91 | 20.06 | 30.02 |
Quantitative value (mass%) | 50.18(5) | 20.46(4) | 29.36(5) |
参考文献: (1) H. Toraya: J. Appl. Cryst., 49 (2016) 1508-1516.
(2) H. Toraya: J. Appl. Cryst., 50 (2017) 820-829.
推奨装置・ソフトウェア
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ASC-10アタッチメント
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※「DD法」「Direct Derivation Method」「DD Method」は、株式会社リガクの商標または登録商標です。