PDF解析によるゼオライトの構造評価

Application Note B-XRD1131

はじめに

ゼオライトは多孔質アルミノケイ酸塩として知られ、水の吸着能・イオン交換能・分子ふるい能・触媒能など優れた特性を持つ材料です。その結晶構造はTO4 四面体(T = Si, Al)を基本構造単位として、それぞれの酸素を共有しながら複数の環状構造を形成しますが、加熱処理などで非晶化する場合があります。XRDでは結晶構造を評価する手段として、結晶質にはRietveld解析がしばしば利用されるものの、非晶質化してしまった試料には適用することができません。このような場合、PDF解析を用いることによって、非晶質から構造情報を抽出して解析することができます。

測定・解析例

熱処理前後のチャバサイト型ゼオライト(CHA)のX線回折(XRD)測定を行いました。図1にそれぞれの条件から得られたXRDパターンを示します。熱処理前のXRDパターンは、鋭いピークを示していることから、結晶質ゼオライトであることがわかります。熱処理後のXRDパターンは、ブロードなハローパターンを示しており、非晶質ゼオライトに相変化したことがわかります。

次に、構造解析を行うために、PDF解析を行った結果を図2に示します。それぞれのピーク位置は原子間距離rを示しています。熱処理前後において、4員環(図3参照)由来のSi-O相関距離の強度が減衰し、6, 8員環由来のSi-O相関距離の強度には変化がないことが分かりました。すなわち、熱処理によって4員環構造が壊れた非晶質になっていることが推測できます。またSiO2ガラスのPDFパターンと類似したPDFパターンとなっているため、ゼオライトの非晶質構造はSiO2ガラスの構造に類似していることが推測されます。

熱処理前後のゼオライトのXRDパターン)

1 熱処理前後のゼオライトのXRDパターン(熱処理後のデータにオフセット処理済)

熱処理前後のゼオライトとSiO2ガラス

図2 熱処理前後のゼオライトとSiO2ガラス(オフセット処理済)のPDFパターン

CHAの4員環

図3  CHAの4員環(赤:O,青:Si, 緑枠:4員環)

推奨装置・ソフトウェア

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + Ag管球 + CBO-E集光光学系キャピラリーアタッチメント
  • 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250 HE
  • ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000 HE
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (PDFプラグイン)

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