2次元検出器を用いた 金属材料の高速極点測定
はじめに
X線回折法で金属材料などの集合組織の評価を行うためには、通常、複数指数の極点図を利用します。0次元モードによるシュルツ反射法がよく用いられますが、1指数ずつ極点図を測定する必要があり、各α位置でのバックグラウンド測定も必要なため測定に時間がかかります。2次元検出器を用いた極点測定“2D極点測定”は、得られた2次元回折像(デバイリング)の強度分布から異なるα位置の強度を同時に取得できるため、0次元モードでの測定に比べて短時間で極点測定を行うことができます。
測定・解析例
2次元回折像を測定するためには入射側にコリメータや集光素子を取り付け、照射領域が試料上でポイント状になるようにする必要があります。検出器は、デバイリングの広い範囲が撮れるように、カメラ長をなるべく短く設定します(図1)。2D極点測定は、複数のあおり角(χ)で測定し、それぞれの極点図を規格化して接続します。SmartLab Studio IIの“極点測定(2D)”パーツでは、測定したい指数の2θ位置を入力するだけで極点図の中心の情報が得られ、かつ各χでの極点図のα範囲がつながるようにχ位置と入射角(ω)を自動的に計算します(図2)。図3に示すように、2次元回折像から極点図を作成するには、変換したい範囲を枠で囲みます。検出面内に複数の指数の回折像が観測される場合は、一連の測定で複数の極点図を同時に作成することが可能です。この時、0次元モードで必要であったバックグラウンド強度の測定は、回折像の強度と同時に露光により取得できているため不要です。Tiプレートの測定では、χ: 22˚と66˚で測定しました。それらの極点図を接続、1/4対称操作と規格化を行った極点図を図4に示します。この2D極点測定は特に微小領域にX線を照射したい時など、0次元での極点測定では強度が得られにくい場合に非常に有効です。
図1 2D極点測定の装置構成
図2 SmartLab Studio II “極点測定(2D)”パーツのパラメータ設定画面
図3 Tiプレート試料の2次元回折像(χ: 22˚)
図4 接続後のTiプレート試料の100, 002, 101極点図
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-400
- χ軸搭載アタッチメント(αβ アタッチメント、χφ アタッチメント、χφZアタッチメントベース)
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II(Textureプラグイン)