DD法®によるγ-アルミナの定量分析

アプリケーションノート B-XRD1115

はじめに

X線回折法による定量分析では、各成分に由来するピークの積分強度を正確に求めることが必要ですが、結晶性が低くブロードなピークを示す化合物の場合、積分強度の算出そのものが困難です。当社が開発した新しい定量分析法、Direct Derivation (DD)法®では、単一成分の測定プロファイルを元に全パターンフィッティングを行います。この結果、結晶構造からプロファイル関数を計算することが難しいような、複雑なパターンを示す化合物に対しても、簡単に全パターンフィッティングができます。ここではα-Al2O3とγ-Al2O3の混合物を定量しました。

測定・解析例

Al2O3には結晶性の高いα型(高温型)と結晶性の低いγ型(低温型)の結晶多形が存在します。ここではα-Al2O3が1、10、30 mass%になるようにγ- Al2O3と混合し、2θ = 5~120°を10 °/minで測定しました。得られたX線回折プロファイルの重ね描きを図1に、3つの混合物の解析結果のRwp、S値、調製値および定量値を表1に示します。この結果から、結晶性が低い物質に対しても、正確な定量値を算出できることがわかりました。

α-Al2O3とγ-Al2O3の混合物から得られたX線回折プロファイルの重ね描き

図1 α-Al2O3とγ-Al2O3の混合物から得られたX線回折プロファイルの重ね描き

表1 Rwp、S値、α-Al2O3の調製値および定量値

  1% 10% 30%
Rwp (%) 8.58 7.70 7.69
S 1.3188 1.1698 1.1527
調製値 (mass%) 1.01 10.01 30.04
定量値 (mass%) 1.01(3) 9.96(4)

29.67(4)

参考文献:(1) H. Toraya: J. Appl. Cryst., 49 (2016) 1508-1516.
                   (2) H. Toraya: J. Appl. Cryst., 52 (2019) 520–531. 

推奨装置・ソフトウェア

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ASC-10アタッチメント + 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)

※「DD法」「Direct Derivation Method」「DD Method」は、株式会社リガクの商標または登録商標です。

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