PDF解析及びRDF解析による材料評価

Application Note B-XRD1107

はじめに  

二体分布関数(Pair Distribution Function、PDF解析)、動径分布関数(Radial Distribution Function、RDF解析)は、物質の結晶性に関わらず原子間距離と配位数の情報を、X線回折パターンから導き出すことができます。結晶質材料に加えて、一般的にブロードなX線回折ピークを呈する非晶質材料やナノ材料に対しても適用することができるため、様々な分野での活用が期待されている手法です。

測定・解析例

非晶質カーボンのX線散乱(回折)パターンに現れるピークは、結晶質カーボンと比較してブロードになります(図1)。この理由は、非晶質カーボン内にはC-C共有結合以外にも様々な原子間距離で結合したC原子が存在し、それらによる散乱X線が原子間距離に対応して干渉を起こすためです。この散乱パターンを逆フーリエ変換することにより、実空間の構造情報を再構成することが可能となります。原子間距離rに対する密度分布をPDF、配位数をRDFと呼びます。図1の非晶質カーボンの散乱パターンから計算したRDFを図2に示します。ピーク位置が平均原子間距離、ピーク面積が配位数に対応しています。図3に示すようにカーボンの構造モデルを平面として考えると(実際には3次元空間の情報が得られます)、それぞれのピーク位置から第1,2,3・・隣接距離及び配位数を求めることができます。

非晶質カーボン・結晶質カーボンのX線散乱パターン

図1 非晶質カーボン・結晶質カーボンのX線散乱パターン

非晶質カーボンのRDF

図2 非晶質カーボンのRDF

カーボンの結晶構造

図3 カーボンの結晶構造

 

推奨装置・推奨ソフトウェア

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + CBO-E集光光学系
  • 高分解能・高速1次元検出器 D/tex Ultra 250 HE
  • ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000 HE
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (PDFプラグイン)

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