2次元検出器を用いた 金属融解挙動の高速時分割測定

    Application Note B-XRD1105

    はじめに                      

    In-situ X線回折測定で融解・凝固・非晶質化・結晶相転移などの結晶相変化の瞬間を捉えるには、各温度でのX線回折像の取得時間をなるべく短くする必要があります。ハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix-3000では、2次元露光測定モードにより、検出器角度をスキャンせずにX線回折像が取得できます。短い時間間隔で取得したデータを比較することで、短時間での急激な結晶状態変化の観察が可能です。

    測定・解析例

    Al板試料を300 ˚C/minで高速昇温しながら、2次元X線回折像を0.5秒ごとに記録しました。図1に、得られた2次元回折像と、その特徴から示唆される結晶状態の模式図を示します。室温ではAlの回折線からなる連続的なデバイリングが観測されており、加熱前のAl結晶粒が微細であることがわかりました。昇温途中には回折線がスポット状に変化し、加熱によって粒成長が起こることがわかりました。さらに昇温を続けると最終的にはAlの融解によりデバイリングが消失しましたが、その直前に回折線の連続性が増加する温度領域があることが確認されました。これはAlの粒界が融解し、それによって生じた液相と微細化したAl結晶粒が共存する瞬間を捉えたものです。

    金属Alの高速昇温in-situ測定で観測された2次元回折像および結晶粒の変化の模式図図1 金属Alの高速昇温in-situ測定で観測された2次元回折像および結晶粒の変化の模式図

    推奨装置

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
    • ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000

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