2次元回折像を利用した 超硬材の粒子状態と配向状態の確認
Application Note
B-XRD1104
はじめに
2次元回折像には結晶粒子の状態が反映され、回折像がライン状に連続していれば粒子が微細であり、スポット状に不連続であれば粒子が粗大であると考えることができます。さらに、回折像に強度分布がなければ結晶の選択配向がなく、周期的に不連続な強度分布があれば配向があると判断できます。従来の結晶相同定は2次元回折像から変換した1次元プロファイルのみで行われ、2次元回折像に含まれる粒子の情報は切り捨てられていました。X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio IIでは、1つの測定データを2次元回折像と1次元プロファイルに展開し、これら2つを比較しながら解析を進めます。結晶相同定結果と2次元回折像を視覚的に確認することができますので、試料に含まれる結晶の状態まで確認することができます。
測定・解析例
測定試料は、切削加工に使われる超硬材のチップです。図1に、測定データの2次元回折像と、1次元プロファイルと結晶相同定結果の重ね書きを示します。解析の結果、WC、TiC、C(ダイヤモンド)、SiCが結晶相として同定されました。これらのうち、CとTiCの回折ピーク強度は、データベースに収載されている一般的なピークの強度比(棒グラフ)の強度比と大きく異なっていました。これらの回折ピークの2次元回折像を確認すると、Cはスポット状の2次元回折像であることから、粗大粒であることがわかりました。またTiCの2次元回折像は強度分布のあるリング状であることから、結晶が選択配向していることがわかりました。
図1 2次元回折像と1次元プロファイルの同定結果
推奨装置
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-400
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)