デスクトップX線回折装置と高速2次元検出器を 用いた水和物の脱水挙動の観察
Application Note
B-XRD1101
はじめに
製造条件や保存安定性の検討のために、物質を加熱・冷却しながらX線回折測定する、in-situ測定のニーズがあります。In-situ測定に2次元検出器を利用すると、(1)素子に検出されたX線強度の時間差積算(TDIスキャン)により短時間で高強度の回折像が得られる、(2)2次元回折像の観察により、粗大粒子や選択配向といった結晶の状態を視覚的に確認できるという利点があります。デスクトップX線回折装置MiniFlexは、2次元検出器HyPix-400 MFと、温調測定が可能なアタッチメントBTSシリーズ(Anton Paar社製)に対応しており、温度変化に伴う物質の結晶相転移や結晶子サイズの変化をリアルタイムで確認することができます。ここでは、BTS 500を用いて(図1)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O)の昇温測定を行いました。
測定・解析例
昇温に伴い、室温では六水和物であったものが、90°C付近では四水和物、140°C付近では二水和物、200°C付近では一水和物、270°C付近では塩化水酸化マグネシウム(MgCl(OH))に相変化する様子が観察されました(図2)。2次元回折像を比較すると、室温ではデバイリングが斑状でしたが、加熱するとデバイリングの連続性が向上し、幅が細くなりました。このことから加熱により結晶子サイズが変化していることがわかりました。
図1 HyPix-400 MFとBTS 500をセットしたMiniFlex内部
図2 塩化マグネシウム六水和物の昇温XRD測定結果
推奨装置
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix-400 MF
+ 温調アタッチメントBTS 500