電子基板の微小領域マッピング測定
Application Note
B-XRD1089
はじめに
電子基板のように非常に多くの微小部品で構成されている試料を測定する場合、各領域の結晶状態を評価するためには、X線を絞り、特定の領域にのみ照射する必要があります。従来の光学系ではX線焦点から発散するビームをスリットやコリメーターを用いてポイント状に絞るため、X線強度の減衰が大きく、微小領域の測定には長い時間を必要としていましたが、微小焦点光学素子を搭載したSmartLab μHRと高速2次元X線検出器を用いることで、XG出力が従来の1/10以下であるにもかかわらず、短時間で高強度の微小部測定が可能となりました。
測定・解析例
SmartLab μHRは微小焦点回転対陰極X線管を搭載し、微小焦点光学素子CMFを用いてX線を1 mm × 1 mmのビーム径に単色・平行化し、コリメーターによりビーム径を整えます。その結果、図1および表1に示すように、従来使用していたコリメーターやポイント集光素子であるCBO-fと比べ、XG出力が1/10以下であるにもかかわらず高分解能かつ高輝度の測定が可能となりました。
SmartLab μHRを用いて図2に示す電子基板の微小領域測定を行いました。各測定点とも、約2分間という非常に短い測定時間でも、電子基板の微小な領域に含まれる化合物の同定や粗大粒あるいは配向の有無を確認することが可能です。
表1 各光学系の強度と半価幅
光学系 |
XG 出力(kW) |
ビームサイズ(mm) |
規格化強度 |
輝度(強度 / ビームサイズ) |
SmartLab μHR | 0.8 | 0.3φ | 52.10 | 579 |
SmartLab CBO‑f | 9.0 | 0.5φ | 53.45 | 68.1 |
SmartLab collimator | 9.0 | 0.3φ | 1.00 | 3.5 |
図1 各光学系の比較データ(試料:Si)
図2 電子基板の微小領域測定(測定時間各2分間)
推奨装置
- 超高輝度微小焦点X線回折装置 SmartLab μHR + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000