デスクトップX線回折装置を用いた 検量線法による原薬中の多形不純物の定量分析

Application Note B-XRD1081

はじめに

医薬品の原薬は、温度や湿度などの影響により結晶多形あるいは擬似結晶多形へ相転移することがあります。複数の結晶多形や擬似結晶多形は溶解度や体内への吸収速度がそれぞれ異なることから、医薬品の開発・製造においてはその制御や評価が重要になります。ここでは、短時間で定性・定量分析に充分な強度のデータが測定できる高速1次元検出器とデスクトップX線回折装置を用いて回折データを測定し、検量線法を用いて原薬中の多形不純物の含有量を算出した例を紹介します。

測定・解析例

サンプルは血糖降下剤として知られているトルブタミドを使いました。図1に、ロットAサンプルのX線回折プロファイルとデータベースに登録されているI、II、III型のトルブタミドの回折パターンを示しました。測定データはI型の回折パターンと良く一致しました。一方、ロットBのサンプルを測定したところ(図2)、I型に加えて、II型の結晶が含まれていることが分かりました。ロットAのトルブタミドにII型の純粋結晶を0.2、0.4、0.7、1 mass%添加して検量線を作成し、ロットBのトルブタミドに含まれるII型結晶の定量分析を行ったところ、ロットB のサンプルにはII型が0.48 mass%含まれていることがわかりました。このように、高速1次元検出器を用いることでデスクトップX線回折装置でも容易に多形の区別を行うことができ、1 mass%以下の微量の多形不純物でも短時間で検出することができます。

ロットAのトルブタミド原薬の定性分析結果(測定時間5分)

図1 ロットAのトルブタミド原薬の定性分析結果(測定時間5分)

ロットBのトルブタミド原薬の定性分析結果(測定時間5分)と検量線法による定量分析結果

図2 ロットBのトルブタミド原薬の定性分析結果(測定時間5分)と検量線法による定量分析結果

推奨装置

  • デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2

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