Mo線源を用いた リチウムイオン電池材料のリートベルト解析

    Application Note B-XRD1080

    はじめに

    セメントの原料であるクリンカーは、石灰岩、粘土、けい石を混合・焼成して生産されます。その焼成度を確認するには、フリーライム(酸化カルシウム)量を把握することが重要です。しかし、フリーライムは空気中の水分や炭酸ガスによって水酸化カルシウムや炭酸カルシウムに変化することが知られており、迅速に測定する必要があります。また、従来は検量線法による定量分析が行われてきましたが、セメント成分の回折ピークは密集して観測されるため、フリーライムのピークを分離することが難しい問題がありました。ここでは、高速1次元検出器を搭載したデスクトップX線回折装置で回折データを迅速に測定し、Rietveld法を用いてセメント中に含まれるフリーライムの定量分析を行った例を紹介します。

    測定・解析例

    NIST 2687標準試料にフリーライムを0.5 mass%添加した模擬試料を作製し、2θ=10 – 80˚の範囲を10分間測定しました。図1にRietveld解析結果、表1に定量分析結果を示します。Rietveld解析プロファイルは、5.06%の信頼度因子(Rwp)で観測プロファイルとよく一致し、フリーライム量も誤差範囲内で調製値と一致した値が算出されました。以上のように、高速1次元検出器を搭載したデスクトップX線回折装置を用いることで、Rietveld法による定量分析に充分な高強度の回折プロファイルを迅速に測定でき、かつ、1 mass% 以下の微量成分の含有量を高精度で算出できます。

    X線回折プロファイルとRietveld解析結果

    図1 X線回折プロファイルとRietveld解析結果


    表1 Rietveld解析結果

    構成成分 リートベル法による定量値 (mass%) 調整値 (mass%)
    Alite (C3S) 71.7(3) 71.24±1.27
    Belite (C2S) 12.8(3) 12.57±1.22
    Ferrite (C4AF) 2.55(8) 2.81±0.68
    Aluminate (C3A) 12.19(9) 11.82±1.03
    Arcanite (K₂SO₄) 0.24(8) 0.92±0.15
    Lime (CaO) 0.47(6) 0.52* (添加量)

    推奨装置

    • デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2

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