X線回折装置によるセラミックスの焼成過程の観測
Application Note
B-XRD1077
はじめに
セラミックスをはじめとした無機材料合成の代表的な手法として、合成原料混合物を高温で焼成する固相反応法があります。高温焼成による高機能化セラミックスを作製するには、焼成過程中の合成物を確認し、目的とする合成物の焼成温度を決定する必要があります。ここでは、試料を加熱しながらX線回折プロファイルの観察が可能な、多目的試料高温装置を用いたin-situ X線回折測定により、無機物質の合成過程を確認した例を紹介します。
測定・解析例
多目的試料高温装置によるin-situ測定結果を図1に示します。室温では原料であるcorundum(α-Al2O3)、lime(CaO)、quartz(SiO2)に加え、limeが水和して生じたportlandite(Ca(OH)2)が同定されました。800℃まで加熱すると、原料由来の回折ピーク以外に反応中間物のaluminum silicate(Al2SiO5)が同定されました。さらに1200℃まで加熱すると、新たな反応中間物が生成しました。最終的に1450℃まで加熱すると、目的物質であるgehlenite(Ca2Al2SiO7)の生成が確認されました(図2)。このことから、多目的試料高温装置を用いたin-situ測定により、目的物質が合成される温度や反応中間相を容易に把握することができます。
図1 室温、800°C、1200°CでのX線回折パターン多重書きと室温時の定性分析結果
図2 1450°CでのX線回折パターンと定性分析結果
推奨装置
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
- 多目的試料高温装置
- 赤外線加熱高温装置 Reactor X