反射・透過X線回折測定による 高分子フィルムの配向状態の観察

アプリケーションノート B-XRD1063

はじめに

繊維状あるいはフィルム状に加工した高分子材料は、延伸方向に沿って分子軸が並ぶため、特定方位の結晶面による回折線が強く観察されます(選択配向)。この特性を利用して、走査軸に対する試料の配置を変えて、反射法と透過法とでX線回折測定を行うことで、延伸方向に対する分子軸の方向を調べることができます。ここでは、デスクトップX線回折装置と汎用試料ホルダーを用いて、反射法と透過法で未延伸および5倍延伸のPETフィルムを測定した例を示します。

測定・解析例

PETフィルムを汎用試料ホルダーにMD(Machine Direction:機械軸方向)を基準にとりつけました(図1)。反射法・透過法で測定したPETフィルムの回折プロファイルを図2と3に示しました。未延伸のフィルムからは、反射法・透過法に関わらず、非晶質に由来するブロードなハローパターンが得られました。一方、5倍延伸のフィルムからは、反射法で100面、透過法で-105面のピークが得られました。-105面はPETの分子軸と直交する面であることから(図3挿入図)、5倍延伸フィルムでは分子軸がMDに沿って配向していることが確認されました。

汎用試料ホルダー反射配置(左)と透過配置(右)

図1 汎用試料ホルダー反射配置(左)と透過配置(右)

(挿入図: PETの分子軸と-105面の関係)

図2 (挿入図: PETの分子軸と-105面の関係)

5倍延伸PETフィルムのX線回折プロファイル

(挿入図: PETの分子軸と-105面の関係)

図3 5倍延伸PETフィルムのX線回折プロファイル

(挿入図: PETの分子軸と-105面の関係)

推奨装置・ソフトウェア

  • デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRD プラグイン)

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