RIR法による混合試料の定量分析
Application Note
B-XRD1002
はじめに
X線回折法における定量分析は検量線を用いる方法が一般的です。しかし、検量線法は検量線作成に必要な標準試料の入手や試料調製が困難であったり、測定時間を要したりするなど、手軽に利用できる方法ではありませんでした。RIR(Reference Intensity Ratio:参照強度比)法は、被検成分の最強線※の積分強度と、データベースに記載されているRIR値を用いて、簡易的に定量値を算出する方法です。検量線を作成することなく定量値を算出できるため、試料調製や測定の煩雑さのない定量分析が可能です。
※最強線が他の回折ピークと重なっている場合は、解析ソフトウェアで別の回折ピークを選択して定量値を算出することも可能です。
測定・解析例
4成分からなる試料を測定し、図1のように定性分析を行いました。▼で示した各成分の最強回折ピークの積分強度から、RIR法を用いて解析した結果、試料調製値に非常に近い解析結果が得られました(表1と図2)。
図1 4成分からなる粉末試料の定性分析結果
図2 RIR法より得られた定量結果
表1 試料の成分値とRIR法による定量値
成分 | 調整値 | RIR法による定量値 |
ZnO | 35.8 | 34.4(6) |
MgO | 26.3 | 29.8(8) |
TiO₂ | 24.7 | 21.6(4) |
Fe₃O₄ | 13.2 | 14.2(2) |
推奨装置とソフトウェア
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)