ペプチド医薬(環状ペプチド)の構造解析
はじめに
中分子薬は、低分子薬と抗体医薬等のバイオ医薬の中間に位置する、ペプチド結合をもつ約0.5 - 5.0 kDa程度の新たな医薬品で、低分子薬と抗体医薬等のバイオ医薬が持つ問題点を解決できる可能性を秘めています。中でも、環状ペプチド医薬品はポスト抗体医薬として期待されている、“次世代医薬品”です。環状ペプチド薬のような高分子量化合物の結晶でも、高輝度のX線発生装置、当社独自開発による光子計数型ハイブリッドピクセル検出器 HyPix-6000HE、単結晶構造解析統合プラットフォーム CrysAlisProによる最適化された測定スケジュールを組み合わせることにより、高精度解析が実現します。
測定・解析例
従来の装置では測定することが困難であった、環状ペプチド薬の一つである、“シクロスポリンA”の微小結晶を最新のSynergy-DWで測定を行ったところ、良好なデータを取得することができ、構造解析に成功しました。絶対構造の妥当性を示すFlackパラメーターが0に近く標準不確かさも小さいことから、絶対構造が判定できていることがわかります。図1にシクロスポリンAの微小結晶の写真、図2に構造、表1に構造解析結果を示します。
図1 シクロスポリンAの微小結晶
図2 シクロスポリンAの構造
表1 シクロスポリンAの構造解析結果
System | Total time | Redund | I/σ(I) | Rint (total/last) | R1/wR | Flack |
XtaLAB- Synergy-DW | 29h 50min |
4.5 |
8.46 | 12.2% / 61.6% | 6.89% / 17.23% | 0.038 (254) |
推奨装置・ソフトウェア
- 単結晶X線構造解析装置 XtaLAB Synergyシリーズ
- 光子計数型ハイブリッドピクセル検出器 HyPix-6000HE
- 単結晶構造解析統合プラットフォーム CrysAlisPro
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