X線反射率分析診断

AIはどのようなケースで効果があるのか?

このAI(Artificial Intelligence:人工知能)搭載モジュールは、X線反射率(XRR)解析の質と精度を向上させるために、シミュレーションモデルをどのように修正すれば良いかを提案します。トレーニングされたネットワークは、実験プロファイルとシミュレーションプロファイルの不一致の原因(表面層の欠落など)を推定し、示唆することができます。その示唆に基づいてシミュレーションモデルを修正することにより、XRRフィッティング精度を向上させることができます。

AIはどのようにして不一致の原因の突き止 め方を学習するのか?

このモジュールは、ニューラルネットワークに基づいたディープラーニングアルゴリズムを使用しています。シミュレーションデータを使って、モデルの特定の誤差に対して、測定したXRRプロファイルとシミュレーションXRRプロファイルの間でどのような不一致が現れるか学習することができます。

AI Phase Refelectivity Figure 1

ニューラルネットワークとは?

ニューラルネットワークは、人間の脳を大まかにモデル化したものです。ネットワーク・アーキテクチャには、入力層、隠れ層、出力層があり、これらの層は多くの「ニューロン」で構成されます。ニューロンはこれらの層間で接続され、各接続線にランダムな重みとバイアスを割り当てることで、「重要度」が設定されます。トレーニング中は、このニューロンのネットワークが入力データ(シミュレーションパターンと実験のXRRパターン)を処理し、重みとバイアスの初期値を利用して、出力(起こりうる不一致)を予測します。そして、その予測を正解データと比較します。出力がどれだけ正解データに近いかによって、「報酬」または「ペナルティ」が「フィードバック」としてネットワークを通して伝搬されます。このプロセスを繰り返すことで、ネットワークは接続の重みとバイアスを最適化し、入力と出力の関係を「学習」していきます。

例1

シミュレーション(青線)は、基板上に2つの層があるモデルに基づいていますが、実験プロファイル(赤線)をうまく再現できていません。AI機能は、第1層と第2層の厚さが逆になっていることを示唆しました。

AI Phase Refelectivity Figure 2

例2

シミュレーション(青線)は、基板上に超格子があるモデルに基づいていますが、実験プロファイル(赤線)をうまく再現できていません。超格子のピーク間のフリンジの数は、シミュレーションと実験で一致していません。

AI機能は、超格子の周期数が正しくないと示唆しました。

AI Phase Refelectivity Figure 3

 

パフォーマンス

1-2層モデルでは7種類、超格子モデルでは9種類の示唆が用意されています。これまでの試験では、10回中9回、正しい示唆が得られました。

例3

シミュレーション(青線)は、基板上に超格子があるモデルに基づいていますが、実験プロファイル(赤線)をうまく再現できていません。シミュレーションでは超格子ピークが狭いままですが、実験データでは同じピークが広がっています。 AI機能は、超格子の厚さ(周期)が均一でないことを示唆しました。

AI Phase Refelectivity Figure 4

例4

シミュレーション(青線)は、基板上に2つの層があるモデルに基づいていますが、実験プロファイル(赤線)をうまく再現できていません。 AI機能は、薄い最表面層が欠けていることを示唆しました。

AI Phase Refelectivity Figure 5

この最表面層をモデルに加えることで、XRRフィッティングが大幅に改善されました。

AI Phase Refelectivity Figure 6

 

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