X線回折装置による強誘電体薄膜の配向評価

アプリケーションノート B-XRD2008

はじめに 

強誘電体薄膜は、メモリやMEMSでの応用が期待されています。その自発分極軸を電界印加方向に揃える必要があることから、特に配向に関する知見を得ることが重要です。配向評価はX線回折の得意とする手法ですが、リガク独自の光学素子と2次元検出器により、複数の配向成分(ドメイン)の配向軸やその配向性等の情報を、わずか数分で確認することが可能です。

測定・解析例

強誘電膜(Pb,La)TiO3(以下PLTと表記)の弱配向試料と強配向試料を、2次元検出器を用いて測定しました(図1 測定範囲: 2θ = 0~90° 測定時間:90秒 装置:SmartLab)。主な配向が、PLT[111] // Pt[111] // Si[001] という方位関係であることがわかると同時に、製膜条件に起因するPLT膜の配向性の違いが、回折スポットの広がり方(強配向試料ではスポット状、弱配向試料ではリング状)から一目で読み取れます。ワンタッチでライン光学系を強度ロスなくポイント光学系に変換する光学素子CBO-f (1)と、検出器のTDIモード(*)(2)により、広範囲の2次元X線回折パターンを高強度かつ迅速に観測できます(図2)。また、検出器のダイナミックレンジが広いため、弱配向成分の微弱な回折スポットからSi基板やPt下地層の高強度のスポットまで、アッテネーターを用いず一度に測定できます。

配向性の異なるPLT膜/Pt下地/Si基板の測定例

図1 配向性の異なるPLT膜/Pt下地/Si基板の測定例

光学系図

図2 光学系図

(*)TDI(Time Delay Integration)モードとは、2次元検出器をスキャンする時に用いられる信号処理の方法です。各回折角度の信号が2θ方向に積算されるため、高強度かつ高速の測定ができます。

参考文献: (1) リガクジャーナル, 38(2)(2007) 26-27.
                        (2) 小林信太郎, 稲葉克彦: リガクジャーナル, 42(1)(2011) 9-14. 

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