微小部X線回折装置を用いた溶融亜鉛メッキの断面における相分布評価

アプリケーションノート B-XRD1171

はじめに

溶融亜鉛メッキは、自動車部品や建築材料、締結部品などに広く用いられている表面処理技術です。優れた耐食性を発揮する一方で、その性能はメッキ膜厚だけでなく、Zn層やZn–Fe合金層の形成状態にも大きく影響します。そのため、メッキ断面における相分布を評価することは、品質管理やプロセス開発において重要です。一方、メッキ断面のような微小領域を対象とした場合、一般的なX線回折装置を用いた測定では照射領域が大きく、位置ごとの相分布を評価することは簡単ではありません。また、光学顕微鏡などを用いた断面観察では層構造や形態を確認できますが、構成相を直接同定することは容易ではありません。ここでは、溶融亜鉛メッキを施したナットの断面試料を対象に、ビームサイズ20 μmを実現する微小部X線回折装置を用いたラインマッピング測定を行い、断面方向の相分布を評価した事例をご紹介します。

測定・解析例

溶融亜鉛メッキが施されたナットを断面が見えるように切断し、試料を作製しました。微小部X線回折装置で、直径10 μmのコリメーターを用いてメッキ膜とその周辺を20 μm間隔で測定しました(図1, 2)。取得した2次元画像を1次元プロファイルに変換し、結晶相同定を行った結果を図2に示します。樹脂とメッキ膜の境界から約40 μmまでの領域では、Zn相が主相として存在していることがわかりました。さらに内部の領域では、Zn–Fe合金相(Zn₁₀Fe)が主相として存在していることがわかりました。このように、微小部X線回折装置を用いることで、数十μmスケールの微小領域における結晶相の分布を評価できることが示されました。

B-XRD1171_Fig1_ja図1 試料セッティングの様子

B-XRD1171_Fig2_ja図2 測定時のマッピング位置および結晶相同定結果

推奨装置・ソフトウェア

  • 微小部X線回折装置 DicifferX Microarea Edition
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRD, Data Visualizationプラグイン)

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