微小部X線回折装置によるチタン酸バリウム焼結体上の黒色異物の結晶相同定

アプリケーションノート B-XRD1170

はじめに

電子部品の品質向上や工程管理では、異物混入の抑制や材料の高純度化、製造工程の安定化による品質の確保が重要です。これらを実現するためには、材料や異物を適切に評価・解析することが不可欠です。X線回折法(XRD)は化学組成や結晶構造を明らかにすることができるため、有効な評価手法の一つとして広く利用されています。近年、電子デバイスの小型化に伴い、電子部品は微細化・高密度化が進んでおり、X線回折法に求められる評価対象の領域も微小化している傾向があります。異物を同定する場合は、異物以外からの回折線を検出しないように、X線の照射サイズを異物と同程度まで絞ることが望ましいです。しかしながら、異物のサイズが100 μm程度の場合、汎用X線回折装置の微小部光学系ではX線照射領域を全幅100 μm以下に絞りつつ、現実的な時間で測定することは困難です。このような微小な異物の評価には、高輝度X線源による高強度X線、高精度ゴニオメーターによる安定した位置決め、および2次元検出器による高効率なデータ収集を組み合わせることで、微小な照射領域と実用的な測定時間を両立することができます。ここでは、高輝度X線源、高精度ゴニオメーターおよび2次元検出器を搭載した微小部X線回折装置を用いて、誘電材料であるチタン酸バリウム焼結体上に微量に存在する黒色異物を評価した事例を紹介します。

測定・解析例

試料として、炭酸バリウムと酸化チタンから合成したチタン酸バリウム焼結体を用いました。試料上に存在する100 μm x 300 μmのサイズの黒色異物について、微小部X線回折装置DicifferX Microarea Editionを用いてX線回折パターンを取得しました。測定にあたっては、汎用機での照射サイズを想定した0.2mmのコリメーターと、微小部測定に特化した0.05 mmのコリメーターを用いることでX線照射サイズを制御し、それぞれ約7分かけて回折測定を行いました。その結果、0.05 mmコリメーターを用いた場合でも最強線の強度は10000 countsを超え、十分な強度の回折パターンを取得できました。

図1に、チタン酸バリウム焼結体上の黒色異物の定性分析結果を示します。0.2 mmコリメーターを使用した場合、黒色異物以外の部分にもX線が照射されており、黒色異物由来のピークと周囲のチタン酸バリウム由来のピークが重なって観測されました。一方、0.05 mmコリメーターを使用して黒色異物のみにX線を照射した結果、黒色異物由来のピークのみを観測することができました。定性分析の結果、黒色異物はバリウムとアルミニウム、もしくはチタンの酸化物、BaAl2O4、Ba0.75Al11O17.25、Ba4Ti12O27の混合物であることがわかりました。X線照射サイズが異物のサイズより大きい場合でも、リファレンスとして異物外の箇所を別途測定しておき、異物部のみに観測されているピークを特定することにより異物を同定することは可能です。しかし、コリメーターを用いてX線ビームを絞り、目的とする評価対象領域のみを選択的に照射することにより、短時間で、より簡便に解析を行うことが可能になります。

B-XRD1170_fig1_jp図1:チタン酸バリウム焼結体上の黒色異物の定性分析結果

推奨装置・ソフトウェア

  • 微小部X線回折装置 DicifferX Microarea Edition
  • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio Ⅱ(Powder XRDプラグイン)

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