アプリケーションノート B-XRD1168
はじめに
ニッケルは、ステンレス鋼や電池材料などに広く利用されている重要な金属です。原料となるニッケル鉱石中のニッケル含有量は数%であり、多くの場合、選鉱により10~15%程度まで濃度を高めたニッケル精鉱として輸送されています。X線回折法は鉱物組成の評価が可能であり、探鉱・鉱山開発ではニッケル鉱物相の同定による鉱床発見に利用されています。そこで本稿では、X線回折法を用いたニッケル鉱石の結晶相同定と定量分析の事例を紹介します。
測定・解析例
デスクトップX線回折装置MiniFlexを用いてニッケル鉱石のX線回折パターンを10分以内の測定で取得しました。試料には鉄が多く含まれ、Cu管球を使用すると鉄由来の蛍光X線によりX線回折パターンのバックグラウンドが高くなるため、強度が低い回折ピークを確認しにくくなります。そこで本事例ではCo管球を用いました。Co 管球を使用することで、Cu 管球と比較して鉄由来の蛍光X線によるバックグラウンド強度への影響を低減できます。
図1にニッケル鉱石の結晶相同定の結果を示します。NiFe₂O₄(Trevorite)が同定され、ニッケル酸化鉱石であることがわかりました。また、表1にリートベルト解析による定量分析結果を示します。このように粉末X線回折法を用いることで、非破壊かつ迅速な結晶相同定・定量が可能です。 さらに蛍光X線分析(XRF)による元素分析結果を組み合わせることで、より正確な組成評価をすることが可能です。
図1:ニッケル鉱石の結晶相同定結果
表1:ニッケル鉱石中の各結晶相の重量分率
推奨装置・ソフトウェア
- デスクトップX線回折装置MiniFlex
- 小型X線回折装置MiniFlex XpC
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE, SmartLab
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)