TG-DTAとXRD-DSCを用いた 原薬の脱水挙動の観察

アプリケーションノート B-XRD1129

はじめに

医薬品を構成する化合物の中には、加湿に伴って結晶構造内に結晶水を取り込み、水和物に変化するものがあります。結晶構造と物性には相関があり、このような化合物の品質を管理する上で、湿度変化による挙動を把握することが重要です。結晶粉末を加湿しながらX線回折測定すると、加湿に伴う構造変化を調べることができます。ここではXRD-DSC同時測定装置と水蒸気発生装置を用いて、医薬品原薬の水和挙動を調べました。

測定・解析例

抗アレルギー薬のネドクロミルナトリウム(以下、NS)には、非晶質、無水物、一、三水和物等が存在することが知られています。図1には、水蒸気発生装置を用いたNS一水和物のXRD-DSC測定結果を示します。専用ソフトウェアによるプログラム制御により、N2ガスの湿度を27 °C、5 %RHから27 °C、90 %RHへと20 %RH間隔で変化させました。X線回折測定は40 kV-50 mAで、10 °/minで実施しました。一水和物は27 °C、20 %RHで発熱を伴って三水和物へと変化し、その後水蒸気分圧を上げ下げしても、この時間内では元の一水和物に戻らないことがわかりました。XRD-DSC同時測定装置に水蒸気発生装置を組み合わせることにより、温度一定での湿度可変測定、また湿度一定での温度可変測定を実現でき、水和や、湿度に起因する構造変化をその場観察することができます。

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図1 水蒸気発生装置を用いたネドクロミルナトリウム一水和物のXRD-DSC同時測定結果

左から、XRDプロファイルマップ、XRDプロファイル、DSCチャート

試料ご提供:東邦大学 寺田勝英先生

 

推奨装置・ソフトウェア

  • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + X-ray DSC + 水蒸気発生装置 HUM-SL
  • 統合X線解析ソフトウェア SmartLab Studio II (XRD-DSCプラグイン)

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