デスクトップX線回折装置を用いた 0.1mass%のアスベストの検出
アプリケーションノート
B-XRD1006
はじめに
建材や天然鉱物試料のアスベスト含有率が0.1 % 以上と判断される場合、JIS A1481や2006年8月28日付の厚生労働省通達に基づき、必要に応じてX線回折法による定量分析を行うことが定められています。これらの文書では、アスベスト含有率が低いと判定された場合は、ギ酸や塩化カリウム溶液による濃縮を行った後にX線回折法による定性分析を行う手順が記載されています。高速1次元X線検出器を用いると、デスクトップX線回折装置を使用する場合でも、0.1 mass%程度の低含有率のアスベストを、特別な前処理を行うことなく検出できます。
測定・解析例
カルサイト(CaCO3)とアルミナ(Al2O3)の混合粉末に 0.1 mass% のアスベスト(クリソタイル・アモサイト・クロシドライト)をそれぞれ混合した模擬試料を測定しました。図1に示すように、いずれの模擬試料でもアスベストの明瞭なピークが検出されました。回折ピーク幅が広く反射強度の低いクリソタイル混合試料は、3回の詰め替え再現性試験を行いました(図2)。総積分強度を算出したところ、表1のように再現性の良い結果が得られました。
図1 0.1 mass% のクリソタイル・アモサイト・クロシドライト混合試料のX線回折プロファイル(Y軸方向にオフセットをかけています)
図2 0.1 mass% クリソタイル含有試料のX線回折プロファイル(3回詰め替え)(Y軸方向にオフセットをかけています)
表1 0.1 mass% クリソタイル含有試料の詰め替え再現性
回数 |
総積分強度(Count) |
1 | 14849 |
2 | 15090 |
3 | 15287 |
推奨装置
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2 + 6試料自動交換装置 ASC-6
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)
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