WPPF法による混合試料の定量分析
Application Note
B-XRD1001
はじめに
WPPF(Whole Powder Pattern Fitting; 全パターンフィッティング)法は、格子定数の情報をもとに、比較的広い角度範囲をプロファイルフィッティングする手法です。WPPF法を混合試料に適用すると、各回折ピークの角度と強度が精密化され、含有結晶相の回折パターンのスケール因子が求められます。スケール因子とデータベースのRIR(Reference Intensity Ratio)値から、各相の重量比を簡便に算出することが可能です。ここでは、高速1次元検出器を搭載したデスクトップX線回折装置を用いて高強度の回折プロファイルを短時間で測定し、WPPF法により定量分析した例を示します。
測定・解析例
WPPF法による4成分混合試料の解析結果を図1に示しました。約10分の測定時間で最強ピークの強度が 10,000 countsを超え、WPPF法による解析に充分な回折強度が得られました。WPPF法による4成分の定量結果は試料調製値に非常に近い値が得られました(表1と図2)。
図1 4成分からなる粉末試料のWPPF法による解析結果
図2 WPPF法より得られた定量結果グラフ
表1 測定試料の成分とWPPF法による定量結果
成分名 | 調整値 | WPPF法による定量結果 |
ZnO | 35.8 | 35.11(10) |
MgO | 26.3 | 25.14(17) |
TiO₂ | 24.7 | 25.18(10) |
Fe₃O₄ | 13.2 | 14.57(10) |
推奨装置とソフトウェア
- デスクトップX線回折装置 MiniFlex + 高速1次元X線検出器 D/teX Ultra2
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)