アプリケーションノート B-TA1075
はじめに
建材に使用されるポルトランドセメントは、石灰石、粘土、珪石、鉄などを原料とするクリンカーと呼ばれる中間体に、二水石膏(CaSO₄・2H₂O)などを粉砕混合して製造されます。
本稿では、セメント中のCa(OH)₂ およびCaCO₃ についてTG-DTAを使用して定量を行った結果を以下に示します。
測定・解析例
サンプルとして、市販のポルトランドセメント約40mgをPt製開放容器に入れ、昇温速度10℃/min、Airフロー下で測定しました。
図 1 TG-DTA測定結果
上記の測定結果では、300℃付近までに段階的な脱水による減量と複数の吸熱ピークが見られます。 400℃~500℃では、Ca(OH)₂ の脱水による減量(0.22%)と吸熱ピークが、650℃~750℃ではCaCO₃の脱炭酸によると考えられる減量(2.17%)と吸熱ピークが現れています。
これらの減量率から算出したCa(OH)₂ およびCaCO₃ の含有量は、それぞれ0.9%、4.9%となります。
CaCO₃の含有量は炭酸化の進行状態に関係しており、セメント硬化体の耐久性(鉄筋腐食や収縮によるひび割れなど)を評価するための簡便な手法として利用可能と考えられます。