概要
2025年の単結晶X線構造解析ウェビナーを視聴し、レベルアップしたみなさま、新たな課題に直面されていませんか?
今回は、昨年のウェビナーをご視聴いただき、「学んだ内容を実践したけど上手くいかなかった」、「測定や構造解析について疑問点が出てきた」という方々を対象に、質疑応答メインのウェビナーを開催します!
本ウェビナーは前半と後半の2回に分けて実施します。前半は、2025年の『単結晶構造解析シリーズ 第1回~第4回』の内容を簡単に振り返った後、みなさまからのご質問にお答えします。事前にオンデマンド配信動画をご視聴いただき、ご質問を準備したうえでご参加いただくことをおすすめします。(単結晶X線構造解析シリーズ )
後半では、構造解析の内容について実施しますので、ぜひ併せてご参加ください!
- 単結晶の取得から単結晶X線回折測定までの流れ
- 気を付けるべきポイントや日頃感じている疑問の答え
こんな方におすすめ!
- 単結晶X線構造解析の経験が少ない初心者の方
- 日常的に装置を使用されている中級者の方
- 単結晶X線構造解析 基礎講座ウェビナーをご視聴いただいた方
Q&A:
Q1 : 軽元素化合物のキラル結晶を解析していて、Flackパラメータが有意な値を示さなかった場合、フリーデル対の反射は平均化した方が良いでしょうかまた、また、平均化する際にはCAPまで戻っての操作が必要でしょうか、Olex上からの操作でも可能でしょうか。平均化の方法を教えてください。
A : 過去には"Flackパラメーターが下がらない場合はフリーデル対を平均化する"といった決まりがございましたが、現在は異なっておりますのでご説明いたします。 構造解析を行う際、CIFの出力を行わせる"ACTA"命令を入れるかと思いますが、その際に反射データの整理や平均および並べ替えを指定する"MERG 2"命令が自動適用されます。このMERG 2命令は"精密化の前に反射データを並べ直し、等価反射を平均化するもの"ですが、加えて"対称心の無い構造の時にはフリーデル対は平均化しない"仕様になっています。そのため、キラル結晶の解析時にはFlackパラメーターの値が"有意"か"有意で無いか"に限らず、必ずフリーデル対は平均化されない状態で解析が行われます。
Q2 : 温度を下げると分子のdisorderが明瞭に見える一方、温度を上げるとdisorderが消えてsplit解析が難しくなる結晶があります。このような現象の原因として考えられることや、解析時の注意点について教えていただけますでしょうか。
A : オンデマンド配信第7回の8分30秒付近で説明しているように、結晶を冷却することで、動的なディスオーダーが静的なディスオーダーに変化するケースは良く知られています。
ご質問頂いたケースでは、低温下では静的なディスオーダーとして存在しているが、温度を上げた際には運動性の高い動的なディスオーダーとして存在しており、split解析が困難になっているものと考えられます。この場合、特別な理由が無ければ低温条件下での測定データを用いて構造解析を行っていただければと思います。もし昇温条件下でのデータを用いて構造解析が必要な場合は、結合距離に関するRestraints(DFIX, DANG, SADI)や温度因子に関するRestraints(SIMU, RIGU, ISOR)を用いて、化学的に妥当なディスオーダーモデルを構築する必要が生じることも有ります。これらの束縛命令に関してはオンデマンド配信第7回の29分30秒付近で説明しております。
Q3 : 構造解析の練習について質問dです。昨年のセミナーのQ&Aで「CCDCデータベースに登録されている構造の中からディスオーダーを持つ構造のCIFファイルをダウンロードして練習をしました。これを3か月ほど行って一通りできるようになりました。」と回答されていましたが、練習に利用した具体的なサンプルを教えていただくことは可能でしょうか。様々なサンプルを測定・解析するので、多様なサンプルの解析を練習したいです。
A : 練習に利用した具体的なサンプルは主に医薬品分子です。CSDのDeposition numberは以下のものになります(2211614、2051631、2051632、2069946、1494003、1471843、2278182、1821370)。2211614はtwin lawを使用した解析が含まれておりますため、PLATONをお持ちの方はぜひトライしてみてください。
Q4 : Strategyに従って測定を行い、結晶系は合っていたのですがcompletenessが低くcheckcifでAlertが出ました。「_red.sum」ファイルを確認したところ、強度の弱い回折のCompだけが低くなっておりRintの大きい回折が除かれているような気がするのですが、Processはデフォルトで質の悪い回折をフィルタリングするような設定になっているのでしょうか。その場合、露光時間を延ばして再測定をするしかないのでしょうか。
A : 2つの原因が思い当たりましたので、それぞれ記載を致します。
① 測定分解能およびcompletenessの設定に誤りが無かったと仮定しますと、今回の問題は"高角側の回折スポットが微弱なために、ピークとして判別されていない"ことが原因の1つと考えられます。露光時間を延ばすことで有効な回折が得られるのであれば再測定も解決策となりますが、改善が見られない場合は結晶性に問題があるため、結晶化条件からの再検討が必要になるかと思います。
② "Process"との記載がございますが、使用されている構造解析ソフトウェアはCrystal Structureでしょうか。Crystal Structure(Process)はCompletenessの表記に独自の指標が有り、強度が3σ未満のデータは計算に含めておりません。その一方で、構造精密化を行う再には全ての反射が使用されておりますので、CIFに表記されているCompletenessの値が適切であれば問題ございません。
Q5 : 結晶調製にDMSOやDMFなどの高沸点の有機溶媒を使用しています(通常の有機溶媒だと溶解度が低くて再結晶が困難)。結晶構造解析後に洗浄して他の測定に使用したいと思っていますが高沸点の有機溶媒がどうしても除けません。簡単に結晶をきれいにする方法はありますか?
A : DMFやDMSOと良く混和し、かつ結晶の溶解性は限りなく低い溶媒(例:エーテル 等)を用いて洗浄する方法が有効かと思います。しかし、DMFやDMSOを完全に取り除くことは難しいと思われます。
Q6 : 溶液中の微小結晶をひと粒取り出すコツ、便利ツールなどありますでしょうか?
A : 結晶化バイアル中の溶液から微小結晶を一粒取り出すことはなかなか難しいと思います。そのため、ピペットを使用して、母液ごとスライドグラス上へ移してからトライすることをおすすめいたします。大気中で不安定な結晶もしくは溶媒が揮発しやすい場合は、スライドグラス上に用意した大量のオイル中に母液ごと注入し、結晶を取り出すようにしてください。
Q7 : 結晶の空間群がP21/nの時がありP21/cに格子変換をしたいと思っていますがやり方がわかりません。
A : CrysAlisProでの再処理が必要です。Finalizeにて空間群の再検討を行い、空間群をP21/cに指定し直してください。オンデマンド配信第4回の27分10秒付近にてアイコンの位置を紹介していますので、併せてご確認ください。
Q8 : 希少糖の結晶化を行っております。溶液に溶かす前は固体でも、結晶化作業でシロップ状になってしまう糖があります。糖を結晶化させるための経験的な方法などありますか?
A : 一般論での回答に留まりますが、結晶が成長することなくシロップ状に変化してしまう場合は、結晶核の生成までに至っていないものと予想されます。 原料である固体物質が結晶性を有しているのであれば、微細に崩したごく少量の粉末を、過飽和状態の結晶化溶液に入れてみるのが良いかもしれません。 数日間放置して結晶が成長していないようであれば、温度を下げるなどの工夫を行い、より結晶成長が進む工夫を行って下さい。 その他の結晶化法の条件検討を十分に行っても結晶化が難しい場合は、誘導体や塩として結晶化させる手法を検討頂くのが良いかと思います。 特許情報としての公開のみとはなりますが、アルロース結晶の製造方法等も公開されておりますので、併せて参考としてください。
Q9 : 最近、有機結晶の研究を始めたものです。もちろん系によって異なるとは思うのですが、実験のセットアップとして、どのような容器を使うのか、サンプル量、溶媒量のスタンダードを教えてください。また、試料の融点の高低が単結晶作成に与える影響は?
A : ご認識頂いているとおり研究者それぞれで方法も異なりますため、私が行っていた再結晶方法をお話しいたします。
私が扱っている試料は収率が良かったため、大きめの20mlスクリュー瓶をメインで使用しておりました。何本ものスクリュー瓶に数十mgずつ試料を加え、2-10mL程度の各種良溶媒をそれぞれ加えたのち、沸点等を気にしながら加熱し溶かしました(逆に、良く溶けすぎる良溶媒に注意。その後の操作で結晶が析出し辛い場合が有ります)。その後、溶け残りが生じていた場合は上澄み液を同温度に加熱した瓶に移し、必要に応じて同温度の貧溶媒を、沈殿が生じない範囲量にてゆっくり加えました。 次に、それぞれ設定温度の異なるインキュベーターに保管し、しばらく待っても結晶もしくは沈殿が生じない場合には保管温度を下げたり、蒸発法に切り替えたり致しました。
ここまで記載したように、①試料量、②良溶媒の量および種類、④品溶媒の種類および加えるか否か、⑤保管温度、⑥保管温度の推移もしくは蒸発法の実施有無 と、沢山のファクターが存在しており、これらを網羅的に実施することで、良い結晶化条件を探しておりました。 ただ、実際は類似化合物による先行研究で使用されている条件を模倣することで、ある程度選択肢が絞られますので、参考情報を探すことをお勧めいたします。 他に、平山令明先生の"有機化合物結晶作成ハンドブック"内"筆者の研究室における溶液からの結晶化の実際"という章で、平山研究室での結晶化方法が記載されておりますので、確認してみてください。
また、融点が高いとはいえ、各種溶媒への溶解性が低いとは限りません。相性の良い溶媒を見つけ、その溶媒を中心に再結晶再行を用いて頂ければ、融点自身が再結晶化の作業難易度に与える影響は大きく生じないかと思います。
Q10 : 装置はSaturn、解析アプリにCrysAlisProとOlex2を使っています。古い装置で新しい解析アプリを使っている場合、結晶の完浴は気にしなくてよろしいでしょうか?
A : 従来通り"完浴での測定"のほうが好ましいですが、CrysAlisProはバックグラウンド処理および吸収補正の性能が高いため、完浴させた場合に生じるバックグラウンドの影響も、完浴していない場合の吸収補正への影響もソフト側で補正することが可能です。大きなコリメーターを用いたほうが完浴出来るケースが増える上に、入射X線を余すことなく使用でき、得られる回折強度も向上しますため、大きめのコリメーターを使用することを推奨いたします。 加えてSaturnをご使用かつ"測定はCrystal Clear/データ処理はCrysAlisPro"を用いている場合、外形吸収補正が実施できないため、より完浴条件での測定が望ましいです。
Q11 : 大きい空孔を有していると予想される有機多孔質材料の単結晶X線構造解析について教えてください。結晶性は十分と思われますが、低角側のスポットはきれいに見えても高角側で全くスポットが得られません。diffraction limitが2~3Å程度であり、中の重原子を含む溶媒が原因かと考えていますが、このような場合の対処法はありますか?
A : 高角側の回折スポットが観測できない原因として空孔内に存在している溶媒が規則的に配列してないことが考えられます。約1.2 Å程度の分解能範囲まで回折スポットが得られている場合、骨格構造の確認等が可能な場合があります。その一方で、ご質問いただいたように2-3 Å程度の回折スポットしか得られていない場合は構造解析が困難になる可能性が高いため、溶媒を変更するなど結晶化条件の検討をおすすめいたします。
Q12 : 偏光顕微鏡を使用して結晶を確認した際、虹色のように見えるかと思います。どのように見えるのがいい結晶でしょうか?
A : セミナー序盤にお見せしたスライドを用いて説明いたします。 良い結晶を探す際、私であれば黄色の枠線で囲った"一様に黄色く光る結晶"を狙うかと思います。色が一様であれば厚みが均一であり、線が入っていなければ、双晶およびヒビ等が存在する可能性が低いためです。
別々に成長した2つの結晶がくっ付いて存在している場合は、結晶を回転させた際の明滅を利用して判断が可能です。桃色の枠線で囲った部分について、大きな結晶は消光(透明)しているにもかかわらず、左下に明るい部分が確認され、小さな結晶が付着していることがわかります。 結晶成長の過程で生じた双晶は、実態顕微鏡で確認すると、一見単結晶のように見えます。ただ結晶の方位が異なるため、偏光顕微鏡で確認すると、緑色の枠線で囲った結晶のように、一つの結晶体にもかかわらず、各所で光り方が異なる現象が確認出来ます。


Q13 : Synergyシリーズでタンパク質結晶のスクリーニングを行う際、カメラ長60 mm、ステップ角0.25°、露光時間0.5秒という条件でスクリーニングを行っています。分解能については、スクリーニングで得られた反射を見て決めています。本測定の分解能設定は、スクリーニングで表示されるDifflimitの値を目安にすればよいのでしょうか。それとも、反射強度やスポット形状を確認したうえで、Difflimitより少し安全側の分解能に設定する方がよいのでしょうか。
また、本測定条件を自動設定すると露光時間が長めに算出されることがあります。この場合、放射線損傷を考慮してまずは0.5〜1.0秒程度から測定し、必要に応じて露光時間を延ばす方針でよいのでしょうか。それとも、自動で算出された露光時間に近づける方がよいのでしょうか。
A : 分解能の設定はスクリーニングで表示されたDiffracton limitに加えて、実際に回折スポットを確認したうえでDiffraction limit よりも少し高い分解能で設定することを お試しください。 本測定条件の露光時間はスクリーニングから得られた強度を元に決定されています。スクリーニングの露光時間が短く、得られた強度が少なかった場合にソフトウェアがその結晶の結晶性を低く見積もりすぎてしまうことがあります。その結果として本測定時間が長めに算出されてしまっている可能性が考えられます。結晶や装置にもよりますが、スクリーニング時の露光時間を0.5秒ではなく、5-10秒など伸ばしてみることをおすすめいたします。
Q14 : CrysAlisProでのデータのマージ方法について
A : 前提として、マージされる複数データが全て事前にデータ処理されている必要があり、空間群および格子定数やその並び順が揃っていることが必要となります。
①CrysAlisProの右側のData Reductionタブ右側の矢印を選択し、"Proffit merge Mk.2"を押してください。
②"Add"ボタンを押すとファイルを選ぶ画面が出てきます。そこでマージしたいファイルのフォルダから「.rrpprof」ファイルを選択してください。マージするファイルが2個以上になるように再度"Add"ボタンから同様の操作をしてください。この時、自身でマニュアル処理したファイル(exp_XXXX.rrpprof)もしくは、測定後にCrysAlisProで再度自動処理させたフォルダ(exp_XXXX_autored.rrpprof)の選択が必要です。
③上のリストにファイルが追加されたことを確認し、リスト内のCell match to 1stから格子定数の一致度を、右側のInformationにあるMerged completenessからマージ後のcompletenessを確認します。マージをしてもcompletenessが増加しない場合は、異なるデータのマージが推奨されます。マージデータの格子定数は通常、使用した複数データの平均値が用いられますが、Merged unit cell approximation部のAdvancedアイコンから”#1データの格子定数を適用"を選択することも可能です。最後に右下の"Merge all files"を押すとマージが実行されます。
④マージ実行後にマージしたデータが自動で開き、Finalize画面が開きます。Finalize画面が自動で開かない場合はCrysAlisPro左側バーの上から3番目のアイコンを選択してFinalize画面に進んでください。右下の"OK"を押してFinalizeをすることでマージデータの解析に進むことができます。追加でFinalizeが必要な場合は適宜Finalizeを実施してください。


Q15 : 手動で格子付け(Unit cell findingで自分で格子定数を決める)方法はありますか?
A : 手動で格子定数を決定する方法として、既知の格子定数を用いて検索をかける方法が有ります。
① CrysAlisPro左側バーの一番上のアイコンを選択し、Unit cell findingアイコン横の矢印アイコンをクリックします。
② "Unit cell finding with options"をクリックし、新たに開かれたウィンドウ下部の"Serch known cell"にチェックを入れ、格子定数を入力しOKを押します。
③ 格子定数の検索を行ってもなお、入力した格子定数と異なる値が表示された場合、適切な結晶相が見つからなかったことを意味します。
次に、逆格子空間のスポットから決める方法を説明します。
④ CrysAlisPro左側バーの一番上のアイコンを選択し、Ewald explorerを開きます。
⑤ Ewald explorer内で右クリックをし、”Drag Vectors"を選択するとウィンドウが現れます。"Slect"と決定したい軸(例:"Vector a*")を選択し、原点とa*軸方向にある近接したスポットを繋ぐようにドラッグをします。もう一軸(例:"Vector b*")に関しても同様の操作をしてください。
⑥ 残り一軸を決定するために方向を切り替える必要があります。"Rotate"を選択し、Ewald explorer上部のa*、b*、c*ボタンから任意のボタンを選択し方向を変更してください。その後、"Select"と残りの一軸(例:"Vector c*")を選択し、同様の操作をしてください。
⑦ すべての軸を決定したら"Um S"を選択し、出てきたウィンドウの右側にある"Reduce cell"を押してください。リストにある対称性の一番高い格子定数を選択し、右下の"OK"を押すと格子定数を決定することができます。



Q16 : CrysAlisProの左側の "解析ソフト" ボタンがOLEX2からJanaになってしまいました。OLEX2に戻す方法、またはこれら2つのソフトを表示しておく方法はありますか?
A : Olex2をアンインストールしていないのであれば、CrysAlisPro内での”Olex2との紐づけ”が切れてしまったものと予想されます。
① CrysAlisProのGUI左側上部のCMDアイコンをクリックしてください
② 新たに開いたウィンドウ左下のOptions REDをクリックしてください
③ 新たに開いたウィンドウ上部のタブからProgram/Proxyをクリックしてください
④ Olex2と記載されている箇所左側の”Browse”をクリックし、インストールされているOlex2関連フォルダ内の"olex2.exe"を選択してください。
⑤ ウィンドウ下部の"Save to par file on exit”にチェックを入れ、OKをクリックします。
⑥ 装置設定ファイルの更新に伴う注意事項が表示されますので、内容を確認し、OKを押します。
⑦ CrysAlisProを再起動すると、Olex2のアイコンが表示されているか確認してください。"

Q17 : Rintを下げたいときにRintカットのフィルターを使ったり、レゾリューションを下げたりしていますが、他に何か有効な処理方法があれば教えてください。
A : 元素種および測定結晶サイズにもよりますが、Finalizeにて吸収補正法の再検討を行うことで改善が見込めるかもしれません。 CrysAlisProでは、自動データ処理時に経験的吸収補正(Empirical)が行われておりますが、重い元素を含む結晶やサイズの大きい結晶を測定した場合は、Absorption harmonicsの値を大きく(8×7:偶数は吸収補正、奇数がマウントミス等による結晶重心の補正)設定し、Rint値が改善するかを確認してみてください。詳細はオンデマンド配信動画第4回の25分50秒以降にて説明しております。もしくは外形吸収補正(Numerical)が有効な場合も有りますが、実施する際には正確な結晶外形の情報/組成式/Z値を予め入力する必要が有りますことにご注意ください。
Q18 : 短い時間で結晶の面を決定する方法を教えてください。また、大きい結晶では透過率などが低下することから、厚さを薄くしていると思いますが、面を決めるだけであれば厚さを気にする必要はありませんか?
A : 短い時間で結晶の面を決定する方法について、スクリーニングとPre-experimentまで実施していただき、本測定までは進まずに測定ストラテジーの画面を閉じます。その後、CrysAlisPro右側の"Data Collection"→"Crystal movie"を押すことで結晶の外形写真を撮影します。撮影後に"Crystal"タブの右側の矢印から"Show crystal movie"を開くことで結晶の面を確認することができます。
大きな結晶を測定しますと、結晶自身による吸収の影響が吸収補正でもカバーしきれなくなり、Rint値やR1/wR2値が高くなってしまったり、重原子周りにゴーストピークが残ってしまいます。しかし、"結晶外形と面の対応等を調べる"までの目的においては、X線が透過するレベル内での大きさであれば、そのまま測定しても問題ないかと思います。

Q19 : Resolutoin Limit はOlex2からでも変更できますか?
A : Olex2からResolutoin Limitを変更することは可能です。GUI右上に存在するペンアイコンをクリックしてください。 Editウィンドウが開かれますので、適当な行に"SHEL_99_0.9"(アンダーバーは半角スペースを意味しています)と記載し、OKを押します。 すると、GUI右上の分解能表記が0.9Åに変更されるかと思います。その後、Refineをクリックし再計算をさせると、設定した分解能範囲までのデータを用いたR値等が計算されます。
Q20 : 低温測定の際、瞬間的に冷やした方がよいでしょうか?結晶をゆっくり冷やした方がパッキングの維持やディスオーダーの抑制につながる気がしています。
A : ディスオーダーの解消"を例に示されているため、こちらの質問は"液体窒素ガス下にて急速冷却するか、室温付近から徐々にガス温度を下げて冷却するべきか"をご質問頂いているものと想像いたしました。
一般的に、低分子結晶に対する回折測定を行う際には、結晶凍結の方法として”液体窒素ガス下での急速冷却”を行うことが多いです。ただ、結晶によっては"室温では良質な回折が得られていたのに、低温条件では同様の回折が得られなくなった"といった現象も生じますので、そのような場合には室温付近から徐々にガス温度を下げて冷却する方法を試してみると良いかと思います。
ディスオーダーの抑制に関しても回答いたします。冷却することで"動的なディスオーダー"が"静的なディスオーダー"に変化するケースは良く知られています。また、急速冷却した場合と徐々に冷却した場合でディスオーダーの解析難易度が変化することもごさいます。通常は急速冷却を経ての測定で問題はないかと思いますが"動的にディスオーダーしている原子の座標をより正確に決定したい"場合等では徐々に冷却する方法が有効となる場合がございますので、お試しください。
Q21 : 測定する際に、結晶がX線ビームの中心になるようにマウントするのですが、マウントピンにX線が当たってもデータに問題はないのでしょうか?
A : MiTeGen社製のMicroLoopを例に説明を致します。黄色矢印で示した根元のポリマー部にX線が当たると散乱が生じ、バックグラウンドの原因となります。しかし、ソフトウェア側でバックグラウンドの補正機能を備えているため、大きな問題にはなりません。 一方で、赤色矢印で示した金属部にX線が当たると、金属由来の回折(デバイリング)が生じたり、X線を遮ったりとデータクオリティに大きな影響を与えますため、金属部には当たらないよう十分にご注意ください。 以上を踏まえ結晶をマウントする際には、黄色結晶や水色結晶のように、ループの先端にマウントする習慣が大切となります。

