波長分散型蛍光X線分析(WDXRF)とは?

波長分散型蛍光X線分析(WDXRF:Wavelength Dispersive X-ray Fluorescence)は、高い分解能を特長とする蛍光X線分析法です。試料にX線を照射して発生した蛍光X線を、分光結晶によって波長ごとに分離し、元素の種類や濃度を分析します。

蛍光X線の波長(エネルギー)は元素ごとに固有であり、X線強度は元素の濃度と相関します。そのため、試料に含まれる元素を特定する定性分析と、元素の濃度を求める定量分析が可能です。WDXRFでは、分光結晶を用いて蛍光X線を高い分解能で分離できるため、近接するX線ピークの重なりを低減し、各元素をより明確に識別でき、高精度に分析できます。

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蛍光X線

WDXRFの装置構成

装置のX線管から発生したX線を試料に照射します。X線管にはRh(ロジウム)やPd(パラジウム)などのターゲットが使用されます。

試料から発生した蛍光X線は、LiF200、PET、Geなどの分光結晶によって回折され、波長ごとに分光します。分光後のX線を検出器で測定します。

What is WDXRF atomic model_ja

比較的波長の長いX線、すなわち軽元素の測定には、PRガス(別名:P-10ガス)を使用するガスフロー型比例計数管(F-PC)が用いられます。一方で、重元素の測定にはシンチレーショカウンターが使用されます。

波長の長いX線を効率良く検出するため、固体試料は真空雰囲気で測定し、液体試料はヘリウム雰囲気で測定します。

 

蛍光X線の発生原理

蛍光X線は、次のような過程で発生します。

  1. 入射したX線が、原子の内殻電子に作用します。
  2. 内殻電子が光電子として原子の外へ放出されます。(光電効果)
  3. 外側の電子殻にある電子が、空いた内殻へ移動します。
  4. その際のエネルギー差に対応した蛍光X線が発生します。

一つの原子からは、電子遷移の違いによって複数種類の蛍光X線が発生します。

 

WDXRFの測定原理

WDXRFでは、試料から発生した固有の蛍光X線を分離し、その強度を測定します。

その仕組みは、プリズムが可視光を色ごとに分ける現象に例えることができます。WDXRFでは、分光結晶を使ってさまざまな波長のX線を空間的に分離します。

入射するX線の波長と分光結晶の格子面間隔の関係は、ブラッグの法則で表されます。ブラッグの条件を満たす角度では、特定の波長のX線が強く回折します。

試料から発生した蛍光X線は、平行な金属板で構成されたスリットによって進行方向を整えた後、分光結晶へ入射します。分光結晶は、測定するX線の波長に応じて自動的に選択されます。分光結晶で回折されたX線は、波長ごとに異なる方向へ進みます。検出器をその波長に対応する位置へ移動させることで、目的とする元素の蛍光X線だけを測定できます。このようにWDXRFでは、分光結晶による回折を利用して蛍光X線を波長ごとに分離し、各元素を測定します。

What is WDXRF figure 2_ja

WDXRFのX線光学系

WDXRFでは、分光結晶と検出器が角度を変化させることのできる光学機構に配置されています。この機構をゴニオメーターと呼びます。

ゴニオメーターによって分光結晶と検出器の角度を精密に制御することで、目的とする元素の蛍光X線を測定できます。

また、低エネルギーのX線は空気によって吸収されやすいため、X線光学系全体は真空チャンバー内に配置されています。この機構により、空気によるX線の吸収を抑えています。

分光結晶は、測定するX線の波長に応じて、反射強度や分解能を考慮し、最適な結晶を選択して使用します。ZSX Primusシリーズでは、最大10種類の分光結晶を搭載でき、測定する波長に応じて自動的に分光します。これにより、周期表のほぼ全域にわたる元素を分析できます。

アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

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