スタンダードレスFP分析による蛍光X線分析
1.はじめに
蛍光X線分析(XRF)は、試料にX線を照射し、元素特有の蛍光X線を測定することで成分を特定・定量する手法です。通常の定量分析では標準試料を用いた補正が必要ですが、「スタンダードレスFP(Fundamental Parameter)分析」は、標準試料なしで成分を定量する方法です。本記事では、その仕組みと特長について説明します。
2.スタンダードレスFP分析の仕組み
スタンダードレスFP分析では、物理学的な基礎定数(Fundamental Parameters)を用いて、X線の発生量や吸収・散乱を理論的に計算し、試料の組成を推定します。この方法により、標準試料を用いずに定量分析を行うことが可能になります。
3.特長と利点
・標準試料が不要:新しい材料や未知試料の分析に適しています。
・多様な試料に対応:金属、鉱物、セラミックス、環境試料などに適用可能です。
・迅速な分析が可能:試料をそのまま測定器にセットするだけで分析できます。
4.限界と注意点
・精度の限界:標準試料を用いないため、誤差が生じる可能性があります。
・軽元素の測定が難しい:リチウムやベリリウムなどの軽元素には対応が困難です。
・試料状態の影響:表面の粗さや密度の違いが測定結果に影響を与えることがあります。
5.おわりに
スタンダードレスFP分析は、標準試料なしで迅速に成分分析が可能な便利な手法です。ただし、高精度な定量分析には標準試料を用いた補正が必要となる場合もあります。用途に応じて適切に活用することで、効率的な分析が実現できます。
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