NEX QC による 紙・プラスチック上のSi コーティング量の分析
はじめに
剥離紙や粘着テープの接着部を剥がれやすくするためのコーティング剤や、食品や様々な材料の酸化を防止するための包装のコーティング剤といった用途でSiが使用されています。これらの材料にSiを塗布するプロセスで、Si塗布量は製品の性能を決定するため、常に管理する必要があります。多量に塗布されるとSiが不必要に浪費され、また、少ないと製品の性能を満たすことができません。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC(ネックス・キューシー)は、シンプルな操作で、Siコーティング量が分析でき、最小限のコストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。
試料および試料調製
測定に用いる紙及びプラスチックの試料は、5 cm平方にカットして、装置に設置しました。試料室は165(W) × 190(D) × 60(H) mmですので、様々な大きさの試料もそのまま測定することができます。
装置および測定条件
NEX QCの仕様と測定条件を表1に示します。
表1 NEX QCの仕様と測定条件
分析結果
(1)紙上Siコーティング量の定量分析
Si量が0.34~1.50 g/m2塗布された標準試料を用いて、検量線を作成しました。「標準値」と作成した検量線により計算された「計算値」の相関図を図1に、相関データを表2に示します。
図1 紙上のSi量の標準値と計算値の相関図
表2 紙上のSiコーティング量の相関データ
装置の再現性を確認するために、試料No.1(薄いSiコーティング量)と試料No.6(厚いSiコーティング量)に対して、単純10回繰り返し定量分析を行いました。結果を表3に示します。
表3 紙上のSi量の単純10回繰り返し分析結果
(2)プラスチック上Siコーティング量の定量分析
Si量が0.56~2.20 g/m2塗布された標準試料を用いて、同様に検量線を作成し、計算値との相関図を作成しました。相関図を図2に、相関データを表4に示します。また、単純10回繰り返し定量分析を試料No.1(薄いSiコーティング量)と試料No.6(厚いSiコーティング量)に対して行った結果を表5に示します。
図2 プラスチック上のSi量の標準値と計算値の相関図
表4 プラスチック上のSi量の相関データ
表5 プラスチック上のSi量の単純10回繰り返し定量分析結果
(3)検出下限(LLD)
紙及びプラスチック上のSiの検出下限(LLD)一覧を表6に示します。
表6 紙及びプラスチック上のSi量の検出下限(LLD)一覧
まとめ
NEX QCを用いて、紙及びプラスチック上のSiコーティング量の定量分析を迅速、簡単に行いました。
Siコーティングの製造工程で、不良品を最小限に抑え、かつ少ないコストで管理分析できるNEX QCは有用な装置です。