高真空下での発生ガス分析による ハードディスクの潤滑膜(保護膜)の評価
Application Note
TA6020
何がわかるのか?
試料を高真空下で昇温したときに生成するガスを質量分析により測定します。固体表面の吸着種に関する情報や表面からの脱離過程などについて解析することができます。
測定・解析例
近年のハードディスクの記録密度は飛躍的に向上してきています。それとともに記録ヘッドとディスクの間隔は狭くなってきており、そのためヘッドとディスクが接触する確率が高くなります。とくにディスク装置の起動や停止時には、さらに接触が起こりやすくなり、これらの摩擦や磨耗を防ぐためにディスク表面には1nm程度の保護膜[パーフルオロポリエーテル油:(HOCH2CF2 (C2F4O)n(CF2O)mCF2CH2OH)など]があります。一方、ヘッドにはAl2O3、TiN、DLC、c-BNなどが使用されてきましたが、触媒作用の大きな材料を使うと保護膜の劣化が予測されます。
下記のデータは3年程度使用したハードディスクの測定例です。100℃過ぎから潤滑油が熱分解してCF2Oなどが観測されています。未使用のハードディスクとの比較や異なるヘッド材料での劣化の影響を評価することにより、製品設計や品質管理にフィードバックすることが可能です。
図1 昇温脱離プロファイル
図2 昇温脱離プロファイル(拡大)
推奨装置: 昇温脱離ガス分析装置TPD type V