セラミックスの脱バインダプロセスの分析

Application Note TA-6009

何がわかるのか? 

脱バインダを要する材料には、超硬金属や粉末冶金、希土類磁石、プラズマディスプレイパネルや電子用、構造用セラミックスなどがあります。良質な材料をしかも効率的に得る脱バインダプロセスを確立するためには、脱バインダ時の分解生成ガスの種類や、その発生挙動を知ることが重要です。
示差熱天秤-光イオン化質量分析(TG-DTA-PIMS)法[1]を用いて、セラミックス成形体からの脱バインダプロセスをシミュレーション分析することにより、実プロセスの雰囲気や加熱コントロールに役立てることができます。

測定・解析例

市販のアルミナ製のセラミックスシートを不活性ガス中で加熱処理した時の脱バインダプロセスをTG-DTA-EI/PIMSによって分析しました。脱バインダにともなう熱変化は、300℃~500℃にかけての単調な重量減少として観測されます。脱バインダにともなって発生する脱離成分のEIとPIマススペクトルを比較すると、マススペクトルの差は明瞭に現れています。従来のEIMSでは、解列イオンの生成によってスペクトルが複雑となるため脱離ガス成分を定性分析することが困難です。これに対して、ソフトイオン化の効果によってもたらされるPIMSスペクトルは、分子イオンのみで構成され、脱離ガス成分がm/z 56(ブテン)とm/z 100(メタクリル酸メチル)のみである分析を容易とします。このように、TG-PIMSは、セラミックスの脱バインダプロセスの効率的なシミュレーション法として役立ちます。

アルミナシートの脱バインダプロセスの TG-EI/PIMS 曲線とマススペクトルの比較 左図:TG-EIMS と EI マススペクトル, 右図:TG-PIMS と PI マススペクトル

図 1 アルミナシートの脱バインダプロセスの TG-EI/PIMS 曲線とマススペクトルの比較
左図:TG-EIMS と EI マススペクトル, 右図:TG-PIMS と PI マススペクトル

参考文献:[1] 有井忠, “スキマー型示差熱天秤-光イオン化質量分析法-TG-DTA-PIMS-”, リガクジャーナル, 41 (2010), No.2, 20-25.

推奨装置: 示差熱天秤-光イオン化質量分析同時測定装置ThermoMass Photo

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