マイクロ X 線 CT による 錠剤内部のクラックの観察と解析

Application Note B-XRI1014

はじめに

”キャッピング”や”ラミネーション”などの”打錠障害”は医薬品製造段階で生じる品質異常であり、これらは錠剤内部にできるクラックから発生します。このクラックの発生を防ぎ、製造する医薬品の歩留まりを上げるためには、生産スケール拡大前の製剤化条件検討が重要です。X線CTは非破壊で試料全体の3次元構造を確認できるため、条件検討用試料に生じたクラックを立体的に確認し、その分布を把握できます。ここではマイクロX線CTを用い、3種類の条件で作製した錠剤の内部を観察しました。

測定・解析例 

アセトアミノフェンとセルロースの錠剤を、A 直接打錠、B ローラーコンパクターによる乾式造粒、C 湿式造粒で作製しました。図1には5.1 µm/ voxel のボクセル分解能でCT撮影した錠剤Cの断層画像を示します。錠剤Cの内部には幅100ミクロン未満のクラックが存在し、このクラックは錠剤の角から内部へ、水平に分布していました。図2には錠剤3種の外観、内部の空隙とクラックの立体的画像、および空隙率を示します。錠剤Aには小さな空隙が多く、明確なクラックは確認されません。一方で、錠剤BとCではキャッピングが始まっており、CのクラックはBのクラックよりも連続した状態で試料内部に発生していました。このようにクラックの状態と空隙率を錠剤化条件ごとに評価することで、製剤化条件の最適化が可能です。

錠剤CのCT断層画像

図1 錠剤CのCT断層画像

3種類の錠剤のCT立体画像

図2 3種類の錠剤のCT立体画像

推奨装置

  • マイクロX線CT CT Lab HX

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