高分解能3DX線顕微鏡による樹脂中の空隙の解析
Application Note
B-XRI1006
はじめに
発泡樹脂のクッション性、また、射出成型樹脂の強度や外観への影響などの観点から、成型材料の内部に存在する空隙(ボイド)を観察したいというニーズがあります。高分解能3D X線顕微鏡では、サブミクロン~ミクロンオーダーの分解能で、物体内部に存在する空隙の立体的な拡大像を得ることができます。ここでは、2種類の樹脂材料をCT撮影して内部の空隙を可視化し、体積分率(空隙率)、樹脂の厚さ、直径分布を解析しました。
測定・解析例
高分解能3D X線顕微鏡Cu線源で、空隙を含む樹脂材料A、BをCT撮影しました。空隙と樹脂ではX線の吸収率が異なるため、これらはCT画像上で異なる輝度値で表現されます。この輝度値に基づいた材料A、Bの解析結果を図1~3に示しました。図1では材料Aに含まれる楕円体状の空隙について体積の違いを色分けし、その空隙率を示しました。図2ではスポンジ状の樹脂(隔壁)の厚さの違いを色分けしました。図3では材料Bの中に点在する球状の空隙について直径の違いを色分けし、解析領域の境界で切断された空隙を除いて算出した直径のヒストグラムを示しました。このようにX線顕微鏡では、材料に含まれる空隙や樹脂を拡大して抽出し、大きさや体積を可視化することができます。
図1 材料Aの空隙体積の解析と空隙率
図2 材料Aの隔壁の厚さの解析
図3 材料Bの空隙直径の解析(左)とヒストグラム(右)
推奨装置
- 高分解能3D X線顕微鏡 nano3DX