高分解能3D X線顕微鏡によるCFRPの繊維配向解析
Application Note
B-XRI1005
はじめに
ヘルメットなどの保護具から自動車や航空機に至るまで、強さと軽さの両立を求めて多くの繊維強化樹脂(FRP)が用いられています。樹脂の中での繊維の構造や配向性は材料の強度に大きく影響することから、X線CTによる繊維配向解析のニーズが高まっています。FRPの中でも炭素繊維強化樹脂(CFRP)は繊維が10 m以下と細く、充填密度も高いことから、高分解能でのCT撮影が必要です。ここでは、高分解能3D X線顕微鏡を用いてCFRPを撮影し、繊維配向を解析しました。
測定・解析例
高分解能3D X線顕微鏡 Cu線源を用いてCFRP製の板材を8時間でCT撮影しました。CT再構成結果の立体画像を図1に、断層画像を図2に示します。これらの画像から、繊維配向が同じに見える部位でも、繊維の流れに乱れがあることが確認できます。そこで、図2の赤枠の領域に含まれる炭素繊維の画像を抽出し、繊維配向解析を行いました。平面投影による繊維配向解析では、繊維の各断層画像を任意の座標平面に投影し、配向角度に応じて繊維を色分けします。例として、図2のa、bの位置での正面からの断層画像の解析結果を図3に示します。aとbの位置では、配向角度が変化していること、また、aの位置での繊維の乱れも捉えられています。図4には、赤枠の領域全体で得られた投影角度のヒストグラムを示しました。赤枠の領域全体で5°程度の配向分布があることがわかります。以上のように、X線顕微鏡を使った繊維配向解析では炭素繊維の配向を視覚的、かつ数値的に評価することができます。
図1 CFRP製板材の立体画像(一部を抽出)
図2 CFRP製板材の断層画像(「正面」はaの位置での断層画像)
図3 CFRPの繊維配向解析結果
図4 投影角度のヒストグラム
推奨装置
- 高分解能3D X線顕微鏡 nano3DX