JIS K 0470による土砂類中の全ひ素及び全鉛の定量分析

Application Note B-XRF3034

はじめに

有害物質で汚染された土壌に人が直接触れたり、その土壌中の有害物質が生活用水に溶出することにより、人の健康を脅かすことが危惧されています。汚染の可能性のある、例えば廃止された有害物質使用特定施設を有する工場や事業場の敷地等の土壌を迅速に調査して、汚染の状況を把握する必要があります。ここで紹介するNEX DEはコンパクトな卓上型エネルギー分散型蛍光X線分析装置で、高感度な元素分析が可能です。本報告ではJIS K 0470 「土砂類中の全ひ素及び全鉛の定量」に従い、ひ素(As)、鉛(Pb)の定量分析を行った例を紹介します。NEX DEに搭載している高速検出器は、鉛の分析線に重なる鉄のサムピークの発生率を極力抑えることができ、規格を満足します。

土壌
 

測定・解析例

図1に認証標準物質を用いたPb、Asの検量線を示します。Asの分析線であるAs Kα 線(10.53 keV)に、Pb Lα線(10.55 keV)が重なるため、Asの検量線ではPbの重なり補正を行う必要があります。検量線作成時における重なり補正係数の算出は、NEXソフトウェアで簡単に行うことができます。Pbの分析線はPb Lβ1線(12.61 keV)を使用します。

鉛(Pb)、ひ素(As)の検量線

図1 鉛(Pb)、ひ素(As)の検量線

表1に今回検量線作成に使用した標準物質一覧を示します。試料は粉末のまま専用の試料カップに入れ、測定しました(図2)。

使用した標準物質

表1 使用した標準物質

15試料交換機

図2 15試料交換機

装置の精度を確認するため、作成した検量線を用いて、AIST JSd-1及びJSAC 0463の試料に対し、単純10回繰り返し測定を行いました(表2)。測定時間は100秒です。表2の分析結果は、汚染土壌に対する優れた繰り返し精度を示しています。繰り返し測定から得られた100秒測定での検出下限(LLD:lower limit of detection)は、Pb、Asともに1.5 ppmでした。

繰り返し定量分析結果

表2 繰り返し定量分析結果 (単位:ppm)

このように、エネルギー分散型蛍光X線分析装置NEX DEは汚染土壌に対する高精度の定量分析が可能です。また、NEX DEに搭載したスタンダードレスFP分析法であるRPF–SQX分析により、迅速な土壌中元素のスクリーニング分析も可能です。特定元素の分析のみを対象とした専用機としての運用だけでなく、汎用的な元素分析装置としての応用も可能です。

推奨装置

  • エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX DE

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