エネルギー分散型蛍光 X 線分析装置 NEX CG II 回折線を回避 アルミニウム合金の分析
はじめに
合金の製造現場では、目的の機能、性能を有する製品を製造するために、特定の合金元素(添加物)を所定量混合します。従って、製造過程においては、これら合金元素の含有率を定量分析し、規定内にあるかどうかを検査する必要があります。蛍光X線分析は、固形状の試料をそのまま迅速、非破壊で測定することが可能なため、成分管理に適切な元素分析手法として広く用いられています。最近、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)の性能が向上したことにより、現場の分析装置として使用されつつあります。しかしながら、一般的なEDXの励起方式で合金試料を測定した場合、励起線の連続X線による回折線ピークが検出され、目的成分の蛍光X線を正確に計数することが困難となることがあります。この問題への解決策として、励起線を単色化する方法があり、それにより回折線の発生を回避することができます。エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX CG II は、2 次ターゲットを装備し、単色光で試料を励起します。また、偏光光学系により、低バックグラウンドで測定ができることから低い検出下限を実現しています。一般の直接励起型のEDX と比べ、回折線を検出することなく、目的成分のピークを検出します。今回アルミニウム合金に含まれるppm レベルの微量金属を分析した例を紹介します。
測定・解析例
試料は、溶液化などの試料前処理は不要で、固体のまま置くだけで測定可能です。また、試料交換機を用いることで複数試料の連続測定が可能です。
図1 (a)に、直接励起型のEDXで測定した、アルミニウム合金試料のスペクトルを示します。図1(a)では、Mn Kα線(5.895 keV)、Fe Kβ線(7.059keV)付近に回折線ピークが出現しており、特にMn Kα線のピークを確認することができません。図1 (b)に、同じアルミニウム合金試料をNEX CG IIで測定したスペクトルを示します。NEX CG IIは、単色化したX線を試料に照射するため、スペクトルで検出される回折線のピークは検出されません。矢印で示すように、直接励起型では埋もれていたMn Kα線の微小なピークを確認することができます。
図1 アルミニウム合金の蛍光X線スペクトル
推奨装置 エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX CG II