エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX CG II 有機溶剤中の塩素分析
はじめに
製造現場で使用される有機溶剤に塩素が含まれると製品によっては腐食や変質が起こり、機能や性能を劣化させる恐れがあります。製品の品質向上のため、有機溶剤中の塩素の管理分析が行われています。近年、塩素の管理基準が厳しくなっており、より低濃度の分析が要求されています。エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX CG II は、2 次ターゲットを装備した偏光光学系を採用している装置です.一般の直接励起型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX) と比べ、スペクトルの PB 比(ピークとバックグラウンドの強度比)に優れており、塩素の高感度分析を実現します。今回有機溶剤に含まれる 数ppm レベルの塩素を分析した例を紹介します。
測定・解析例
試料フィルムを張った容器に液体試料を充填し、装置に置くだけで測定可能です(図1)。また、蛍光X線は非接触、非破壊分析ですので、品種の異なる試料を測定した後にコンタミネーションを除くため装置を洗浄するメンテナンス作業はありません。したがって、違う品種の液体試料を測定する場合でも、それらを試料ターレットに並べるだけで連続測定が可能なため、効率のよい分析が可能です。図 2 に塩素(Cl)を含む有機溶剤を測定して得られた塩素(Cl)のスペクトルを示します。20 ppm 含有の塩素において明確なピークが検出されていることは勿論のこと、偏光光学系を採用している NEX CG IIは、低バックグラウンドを実現しているため、塩素非含有試料のブランク試料と比較し1 ppmの微量の塩素(Cl)のピークも明確に検出されています。スペクトルのバックグラウンドから算出した検出下限は0.13 ppmでした。直接励起のEDXの場合では、バックグラウンド強度が高く、数ppmレベルの微量塩素(Cl)の検出は困難です。偏光光学系のNEX CG IIは微量塩素(Cl)の分析に適した装置です。
図 1 液体試料測定時の様子(NEX CG II)
図 2 有機溶剤の蛍光X線スペクトル
推奨装置 エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX CG II