波長分散小型蛍光 X 線分析装置 Supermini200 鉄鋼スラグ中のフッ素分析

Application Note B-XRF1001

はじめに

鉄鋼の製造過程で発生した鉄鋼スラグは土木や道路用の素材などに再利用されていますが、近年では環境問題としてフッ素の含有がクローズアップされてきており、スラグ中のフッ素管理分析が重要となってきました。

鋼鉄スラグ

フッ素の分析手法の1つとして、軽元素を高感度に分析できる波長分散型蛍光X線分析装置(WDX)が用いられています。ここでは、設置が容易な卓上型の波長分散小型蛍光X線分析装置Supermini200でスラグ粉末中のフッ素分析を実施した例を紹介します。

測定・解析例

試料調製は、鉄鋼スラグ粉末に成形助剤(バインダー)を試料重量の10 %を添加・粉砕混合して加圧成形を行い、ペレットを作成しました。高分子フィルムを試料フィルムとして用いるルースパウダー法は,フッ素の蛍光X線がフィルムに吸収されて分析できないため使用できません。また,フッ素の蛍光X線は大気による吸収も大きいため真空雰囲気で分析する必要があります.成形後の試料をSupermini200で測定し、フッ素の検量線を作成しました.分光結晶はRX26を用い、測定時間は1試料当たり、約10分で実施しました。図1に鉄鋼スラグ中フッ素の検量線を示します。検量線から求めた正確度は0.02 mass%と良好な結果が得られました。また、検出下限は0.04 mass%でした。図2にスラグ中の3 %のフッ素(鉄 12 %含む)のスペクトル(横軸エネルギー表示)を示します。スラグは鉄を含有しており、分析線のF Kαの近傍にFe Lαが存在します。WDXはスペクトル分解能に優れているため、2つのスペクトルを明瞭に分離することができます。一方、スペクトル分解能が高くないエネルギー分散型蛍光X線分析装置ではこれらのスペクトルを分離することは困難です。従って、スラグ試料のフッ素をより正確に分析するためにはWDXが推奨されます。

鉄鋼スラグ中のフッ素検量線 

1 鉄鋼スラグ中のフッ素検量線

鉄鋼スラグ中のフッ素のスペクトル

2 鉄鋼スラグ中のフッ素のスペクトル

推奨装置

  • 波長分散型蛍光X線分析装置 Supermini200
  • 波長分散型蛍光X線分析装置 ZSX Primus III+
  • 波長分散型蛍光X線分析装置 ZSX Primus IV / IVi

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