ロッキングカーブによる単結晶基板の反り評価

Application Note B-XRD2031

はじめに

単結晶基板上に薄膜を成膜すると、薄膜材料と基板の熱膨張率の差により、成膜温度から冷却する際に反りが生じることがあります。この反りはデバイス製造プロセスや最終製品の特性に影響する恐れがあるため、反りの程度の定量的評価が求められています。単結晶基板に反りが生じると、試料上の位置によって結晶格子面の向きが変化し、X線回折の起こる入射角度ωが変化します(図1)。この変化量を測定することで、単結晶基板の曲率半径を求めることができます。

測定・解析例

c面サファイア基板上にGaN膜 (厚さ2 μm)を成膜した試料のサファイア0006反射のロッキングカーブ測定を、入射X線方向に2.5 mm間隔で行いました。測定には幅0.1 mm、高さ0.5 mmのX線ビームを使用しました。

図2に、各測定位置で観測されたロッキングカーブプロファイルを示します。測定位置が試料の左端から右端に移動するにつれて、ロッキングカーブのピーク角度が高角度側にシフトしました。このようなピークシフトは、図1の模式図のように、凸形の反りが生じている場合に生じます(凹型の反りの場合は、低角度側にピークシフトが起こります)。図3に、測定位置の変位量に対するロッキングカーブのピーク角度のグラフを示します。グラフの傾きが大きいほど反りが大きいことを示します。曲率半径は変位量 Δ X / sin(Δω) から計算され、本試料では7.7 mと求められました。また図3の勾配が一定であることから、試料全体に均一な反りが生じていることがわかりました。

ロッキングカーブによる反り評価の模式図

図1 ロッキングカーブによる反り評価の模式図


ロッキングカーブ測定結果

図2 ロッキングカーブ測定結果


測定位置とピーク角度の関係

図3 測定位置とピーク角度の関係

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