1次元検出器モードを用いた SiGeエピタキシャル薄膜の高速逆格子マップ測定
Application Note
B-XRD2021
はじめに
シリコンにゲルマニウムを固溶させたSiGe(シリコンゲルマニウム)を応用したトランジスターは、消費電力が小さく、高速で動作します。そのデバイス特性は、SiGe層のGe濃度、格子歪量(緩和率)、結晶性などの影響を受けます。これらの評価方法として逆格子マップ測定がありますが、1次元検出器を用いると短時間で評価が可能です。
測定・解析例
1次元検出器は2θ方向に検出素子が多数並んでいる検出器で、素子ごとに角度情報を持つため、検出器を走査することなく2θプロファイルを測定することができます。この測定モードをスティルモードと呼び、2θ を固定したままωステップごとに露光を繰り返すことで、所要時間約10分の高速逆格子マップ測定が行えます(図1)。
図1 1次元検出器のスティルモードを用いた
高速逆格子マップ測定の模式図
図2に、Si 100基板上に製膜されたSi0.97Ge0.03エピタキシャル薄膜(膜厚380 nm)の高速逆格子マップ測定の結果を示します。Si 004とSiGe 004のqx (Å-1)の値が等しいことから、Si基板上にSiGe膜が格子が傾くことなく成長していることがわかりました。またSi 224とSiGe 224のqx (Å-1)の値が等しいことから、SiとSiGeの面内格子定数が等しく、SiGeが完全にSiに格子整合してエピタキシャル成長している(緩和率0%)ことがわかりました。
図2 1次元検出器を用いた逆格子マップ測定結果(測定時間:約10分)
左 Si, SiGe 004反射付近、右 Si, SiGe 224反射付近
推奨装置とソフトウェア
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
- 高分解能・高速1次元検出器 D/teX Ultra250
- ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (HRXRD プラグイン)